フランス最新オーガニック情報 PART.3~彼らがBIO(オーガニック)を選んだ理由

ロバミルクをビジネスとして展開するために

今回は、BIO(オーガニック)ロバ牧場主や、ロバミルク配合オーガニックスキンケアブランドの代表にスポットを当てます。なぜ彼らは、BIO(オーガニック)を選んだのでしょうか。そしてロバミルクをビジネスとして展開する過程で、どのような環境への取り組みを実践しているのでしょうか。
お二人にお話しを伺いました。


オーガニックロバミルク生産者 パトリック・バレ氏

フランス南西部のジェールの田園地帯で牧場を経営するパトリックさんの前職は農業高校教師。8.5ヘクタールほどの小さな牧場は、フランスの有機認証機関エコサートによる有機農業認証を取得しています。牧場で飼われているピレネーロバの数はおよそ20頭。ロバは悪天候の時をのぞき一年中屋外で過ごし、牧草、干し草、大麦といった天然素材を餌にしています。

パトリックさんに聞く「生産の苦労とは?」

BIO(オーガニック)を選んだ理由と、オーガニックロバミルクを生産する上での苦労について尋ねてみました。

大量生産や効率を追求する牧畜はしたくなかったんだ。工業的な畜産の生産物は人の健康にもよくないし、生産過程を通して自然に対する配慮がないからね。
従来のミルクと違って、オーガニックのロバミルクは生産過程で抗生物質や殺虫剤を使用しないから、こうした残留物質を含む心配はないんだ。
牧場が有機認証を取得するには、有機認証機関が定める基準を満たさなければならないんだよ。たとえば、ロバの健康を維持するための製品や餌はオーガニックのものでなければならないし、牧場の土壌や牧草地、搾乳に使う資材もオーガニックでないものは禁止されている。

― 厳しい基準なんですね。

毎年、有機認証機関の検査官による牧場の査察があって、建物や牧草地、家畜の証明書類、搾乳の際に使用する資材、生産物がチェックされるんだよ。ミルクの生産量を見積り、経理関連を含むすべての書類に目を通し、ミルク用袋に貼付するラベルも規則通りであるか検査される。
この年1回の査察のほかに、2年毎に抜き打ち検査もあるんだよ。オーガニックロバミルクを生産するには、こうした手続きが必要なんだ。最初は大変だったよ。

 

オーガニックスキンケアブランド「ドンキーズ&Co..」の歴史


ロバミルク配合オーガニックスキンケアブランド創始者
THE DONKEY COMPANY代表 クリストフ・ゴクラン氏

海と自然をこよなく愛するクリストフさんは、商船の船長として職業人生のスタートをきりました。30歳を迎えたとき、人や自然にもっと親しみたいという強い思いが生まれ、その後10年にわたり帆船に乗り、世界の海を航海するようになります。彼は寄港地に上陸するたび、環境破壊への危機感を募らせました。そして、彼の環境保護への情熱は、人と地球にやさしいロバミルク配合オーガニックスキンケアブランド「ドンキーズ&Co..」として実現しました。

クリストフさんに聞く
BIO(オーガニック)を選んだ理由と、企業活動で具体的にどのような環境への取り組みを行なっているのか聞いてみました。

私はBIO(オーガニック)のスキンケア製品を開発していますが、私も含め、人がオーガニックを選択する理由はいくつかあると思います。まず、良質なオーガニック製品は肌に受け入れ吸収されやすく、長い目でみれば非常に効果的であるということがいえると思います。また、肌への安全性にもすぐれています。生産履歴も明らかで、消費者にとって信頼性の高い製品といえるでしょう。パッケージングにはリサイクル可能な資材を使用するため、地球環境に与えるインパクトを抑えることができます。

オーガニック製品のメーカーは、消費者保護の立場をとり、人にも環境にもやさしい製品開発に取り組んでいます。また、企業活動が環境に与える影響を自覚し、それに対する取り組みを行なっています。人がオーガニックを選ぶ理由は、このあたりにあるのではないかと思います。

― THE DONKEY COMPANYの企業理念を教えてください。

自然環境への配慮はとても大切だと考えているので、企業活動の一環として環境保護の取り組みを行なっています。まず、オーガニック認定原料を優先的に使用することは、自然環境に与える負荷を抑え、自然の多様性や自然界のバランスにより配慮することができます。

石けんを製造する場合は、こうした配慮が非常に重要になってきます。というのも、パーム油を使用するからなんです。パーム油は良質な石けんを製造するのに欠かせない原料であると同時に、有機栽培でないアブラヤシを原料にすることは環境破壊につながるため、当社はオーガニックパーム油を選んで使っています。

THE DONKEY COMPANYは企業活動を行なう上で環境に対する責任を自覚し、自然保護と環境に与えるインパクトを最小限に抑える取り組みを行なっています。
その一環として、ドンキーズ&Co..は、1%フォー・ザ・プラネット1)に加盟し、持続可能なパーム油のための取り組み2)を支持しています。

1)1%フォー・ザ・プラネットとは
2002年、パタゴニア社の創設者イヴォン・シュイナードと、ブルー・リボン・フライズ社のオーナーであるクレイグ・マシューズが設立した、自然環境保護に貢献するビジネスの奨励を目的とする非営利団体。加盟企業は、年間売上の1%を寄付することにより、環境保護団体の活動を支援します。

 

2)持続可能なパーム油の取り組みとは……


パーム油にまつわる問題、それは、近年インドネシアやマレーシアに見られる アブラヤシの単一集中栽培です。世界のパーム油生産量の85%が、この2国に集中しており、農園開発による熱帯林の伐採、生物多様性の損失や大気汚染等の問題を引き起こしています。
限りある地球の恵みを将来世代に受け継ぐため、ドンキーズ&Co..が使用するパーム油は、以下の条件を満たす生産者からのものに限ります:東南アジアを除く地域のエコサート認定パーム油生産者であり、かつWWF(世界自然保護基金)やOxfam(オックスファム)の勧告に従い、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認定のCSPOオーガニックパーム油生産者であること。