オーガニックでヘルシーエイジングライフPART.16~「食品照射」放射線を浴びた食品のこと~

食品照射とは

体内からのアプローチ第7弾。
今回は「食品照射」処理した食品についてです。放射能汚染で日本の農産物の安全性が問題視されていますが、仕方なく多量に放射能を浴びて汚染された農産物もあれば、故意に放射線を浴びた食品もあります。食品照射とは後者の方で、X線、ガンマ線、陰極線など放射線の生物学的作用を利用して照射し、農産物の発芽防止、農畜産物の殺虫、加工食品を含む農・畜・水産物の殺菌などを目的とする処理技術のことを指します。

主な照射食品

日本で食品照射を認可しているのは、発芽防止のためコバルト60を使用しているジャガイモのみです。しかし、日本は食糧輸入大国。食品照射処理済みの輸入食品に関しては事実上規制がありません。海外では食品照射処理済みの食品に対して照射食品のロゴマークや各国それぞれの食品表示が義務付けられている国も多いのですが、私達日本の消費者は食品照射を知る人も少なく、知らず知らずのうちのに放射線処理された食品を口にしていることも多々あるようです。

国内に関しても照射ジャガイモがどこに出荷されているのか私達は知る由もなく、食品照射 農・畜・水産物が原材料の加工食品については食品表示義務もなく、全く知る由もありません。日本で輸入している照射食品は、ジャガイモなどの球根及び地下根茎類(発芽防止に有効)、生鮮果物及び野菜(鮮度調整・殺虫)、穀類及びその製粉品・ナッツ・油糧種子・豆類・乾燥果物(殺虫)、魚介類及びその製品(殺虫・殺菌・生鮮又は冷凍目的)、生の家禽肉・畜肉及びその加工製品(殺虫・殺菌)、生鮮及び冷凍)、乾燥野菜・スパイス・調味料・動物飼料・乾燥ハーブ及びハーブ茶(殺虫・殺菌)、動物性乾燥食品(殺虫・殺菌)、その他蜂蜜・宇宙食・病院食・軍洋食・卵からの液体増粘剤などの食品(殺菌)と挙げただけでもこれだけあります。

照射を認可している国と主な照射食品

海外では食品照射の有用性を認めている国は多く、認可している食品は様々です。世界で最も食品照射の多い国は中国で主な照射食品はニンニク・香辛料・穀物。照射食品量の多い順に国と処理済み食品を挙げていくと、次いでアメリカの肉類・果実・香辛料、3位はウクライナで小麦・大麦、ブラジルは香辛料・乾燥ハーブ・果実、南アフリカでは主に香辛料、ベトナムの冷凍えび、日本の馬鈴薯、ベルギーの鶏肉・エビ、韓国の乾燥農産物、インドネシアの冷凍食品・乳児食・香辛料、オランダの香辛料・乾燥野菜・鶏肉、フランスの鶏肉・香辛料、タイの香辛料と発酵ソーセージ、インドの香辛料とタマネギ、カナダとイスラエルも香辛料。ざっと見ても主に香辛料に食品照射をしている国が多いことが分かります。

食品照射の安全性

前出の食品照射を認めている国では、もちろん食品照射は無害であると判断し認可しています。日本でも食品7品目を照射研究し、安全性が認められてジャガイモの発芽防止に照射を認可しました。また、食品照射で栄養価に悪影響を及ぼす可能性は無いと、IAEA・WHO・FAO(国連食糧農業機関)が合同で設立した国際食品照射諮問グループ(ICGFI)では10キログレイまでの照射は安全であると結論づけています。

しかし、安全性を問題視する研究結果も報告されており、ドイツ・カールスルーエ連邦栄養研究センターのラットによる研究結果では、照射により発生する化学物質が細胞内遺伝子(DNA)を傷つけるという報告がなされ、これらは強い発ガン増強作用があることが判明しました。アイルランド農業食品開発機関では放射性照射による化学変化によって性質が変化した食品があり、未だ安全性が確認されていないとの報告がありました。また、NASA(米国航空宇宙局)が宇宙飛行士の食欲が落ちると宇宙食の放射線照射をやめたそうです。

一般消費者の食品照射のイメージ

私たち一般消費者の中には、食品照射の事実を知らない人も多く、また原発事故による農産物の放射能汚染により、食品照射は放射能汚染と同じく有害な処理法ではないかという懸念を拭い去ることができないのが現状です。
そして、安全性が疑問視されている照射食品を避けるには、食品照射を認めていないオーガニック食品を購入すれば避けることは可能です。照射食品を避けられるオーガニック食品中心の食生活は「安心を買う」という意味合いも含まれています。
放射線を浴びている照射食品は、日本人には受け入れがたいものであることはこれからも変わらない事実であると思います。