シェフ佐藤の食と自然治癒力PART.26~「熱中症にならないためには」

熱中症になる人には原因がある

健康な人がいきなり熱中症になることはほとんどありません。
低体温症や糖尿病、心臓・腎臓疾患があるなど、普段から身体に何らかの問題を抱えている人が猛暑に適応できずに熱中症になりやすいのです。
熱中症は、ミネラルが欠乏している人に多く見られるようです。そういった人の食生活は、野菜は生野菜程度で、肉類をはじめとした動物性食品や砂糖・人工甘味料が使われた甘い食べ物や飲料、インスタント食品などを好む傾向にあります。
そのため、緩衝作用のバランスが崩れて血液の質が弱まり、酸性に偏った状態になってしまい、夏バテや熱中症になる確率が高まると私は考えます。
気温の上昇によって体温を下げるために大量に発汗すると、体内の水分とミネラルが失われます。大量のミネラル(特に塩化ナトリウム)が失うと、体内を循環する血液の量も減少します。その血液の量が減少すると、末梢に行く血液が減ってしまい、体温を下げることができず、身体が危険な状態になってしまいます。

熱中症になった場合は、身体に熱が溜まった状態で血液が循環できない状態になるので、最悪死に至ることがあります。汗の原料は、血液中の水分や塩分なので、体温調節するためには汗で失った水分と塩分を適度(塩分は水分の約0.2%)に補給する必要があります。

テレビや新聞などで、熱中症対策にスポーツドリンクがいいとよく報道されています。微量の糖分摂取(3%程度)には、水分や塩分の吸収を促す働きがありますが、糖分が多く含まれているスポーツドリンクよりも海藻や玄米、根菜などの自然の食材からミネラルや多糖類を摂る方が効果的と私は考えます。また、塩分を含むが、砂糖が多く使われた塩飴はお勧めできません。
塩分補給としては、塩そのものよりも、化学調味料・食品添加物が使われていない昔ながらの製法で作られた長期熟成味噌や醤油、梅干が理想的な食品といえます。
梅干には、脱水症の改善に用いられる経口補水液とほぼ同じ成分(食塩・クエン酸ナトリウム・塩化カリウム)が含まれているので熱中症対策にはいいのですが、着色料や化学調味料が使われたものではなく、できれば無農薬・有機栽培の梅であること。自然塩(海水塩)で漬けて3年以上熟成させ、天日干しにしたものが身体には有効です。
普段からインスタント食品やペットボトルや缶の清涼飲料水、動物性食品や単糖類(果物・ハチミツ・チョコレート等)・二糖類(砂糖・牛乳等)を多く摂っている人は注意しなければなりません。これらは血液をの質を弱め、体液を中和させるために体内からミネラルを奪ってしまう食品・食材です。これらミネラルを奪う食品は摂らないように心がけることが一番で、ミネラルが奪われる食生活を改めない限り、熱中症は今後も増え続けていくことでしょう。

【干しがごめ昆布】

津軽海峡で採れたがごめ昆布です。一般的に売られている昆布よりも旨味が強く、噛むととろみや粘りを強く感じるのが特徴です。
人間は太古の海から生まれたといわれています。海水はアルカリ性で、人間の体液や血液のpHは7.3±0.03の弱アルカリ性を保持することで身体の機能がスムーズに働き、健康を維持することができます。

ここ数年、猛暑が続くようになってからは、熱中症対策として全国的に梅干が飛ぶように売れているようですが、市販されている自然とはいえない塩分の強い精製塩で作られた梅干を多く摂るよりは、ミネラル豊富でアルカリ度が高い干し昆布がおすすめです。
干し昆布をのれんのように3~5mm幅程度に切り、これをゆっくり噛みながら番茶やほうじ茶といただくと体調は改善されてきます。体調がすぐれない時は、ジュースやアイスクリームは極力避けて、動物性食品や食品添加物も一切避けるようにすることです。体調・体質は血液の質で変わってきますが、その血液は食べるものでできています。毎日の食事で体調は良くも悪くもなります。