胃がんを抜いて女性の死亡率トップに。女性が気になる「乳がん」の本当の話 PART.2

前回の記事で、女性のがん罹患率で、乳がんは胃がんを抜いて第1位であることをご紹介しました。罹患率死亡率ともに年々増加する乳がん。16人に一人の確率で発病すると言われている現状では、もはや他人事ではありません。

病期(ステージ)

乳がんという診断がついた場合、腫瘍の乳房内での広がり、リンパ節への転移の有無、がん細胞の遠隔転移によって大きく5段階の臨床病期(ステージ)に分類され、この臨床病期に応じて治療法が変わっていきます。腫瘍の乳房内での広がりには、腫瘍のサイズ、皮膚や胸壁への浸潤の有無、炎症性乳癌という病態かどうかが含まれる。浸潤・転移が疑われリスクが高い場合は、CTスキャン、骨(シンチグラフィー)、フルオロデオキシグルコース陽電子断層撮影(FDG-PET)、磁気共鳴画像(MRI)、血液検査等の追加の検査で、遠隔転移の発見が試みられます。

乳がんの治療

乳がんの治療には、外科療法、放射線療法、薬物療法があります。外科療法と放射線療法は治療を行った部分にだけ効果が期待できる「局所療法」であり、薬物療法は「全身療法」として位置づけられます。乳がんの治療は原則的には外科的切除であり、抗がん剤や抗エストロゲン剤など化学療法と放射線療法が併用されます。
1)外科療法
乳房にできたがんを切除するために行います。がん組織を含めた周りの正常組織を同時に切除します。切除する範囲は乳房内でのがんの広がりによって決められます。通常、乳がんの切除と同時に、脇の下のリンパ節を含むわきの下の脂肪組織も切除します。これを「腋窩(えきか)リンパ節郭清(かくせい)」と呼びます。
2)放射線療法
放射線にはがん細胞を死滅させる効果があります。放射線治療は放射線照射を行った部分にだけ効果を発揮する局所療法です。乳がんでは外科手術でがんを切除した後に乳房やその領域の再発を予防する目的で行う場合(これを「術後放射線療法」といいます)と、骨の痛みなど転移した病巣による症状を緩和するために行う場合があります。
放射線を照射する範囲や量は放射線治療を行う目的、病巣のある場所、病変の広さなどによって選択されます。副作用は病巣周囲の正常組織にも放射線がかかることによって起こり、放射線があたった領域に含まれる臓器に特有の副作用が出現します。例えば、腰椎に放射線をあてた場合は皮膚や消化管の炎症などが予想されます。
3)薬物療法
乳がんの治療に用いられる薬は、ホルモン療法、化学療法、新しい分子標的療法の3種類に大別されます。薬物療法には薬によって重篤度は異なりますが、多かれ少なかれ副作用が予想されます。また副作用は治療を受ける人それぞれで出方に違いがあり、個人差があります。薬物療法を受ける場合には、薬物療法の目的、期待される治療効果、予想される副作用とその対策などについて充分な説明を受け、理解することが大切です。
女性なら誰でもが掛かり得る病気の「乳がん」。年々拡大し世界規模で行われているピンクリボンの啓発キャンペーンからも分かるようにその事態は深刻になっています。

<Information>

来る5/6(月・祝日)に「乳がん」をテーマにしたシンポジウムが開催されます。医学・疫学者の原因と予防について、食養指導家の乳がんと食養生、マクロビオティックでのがんの見方、現役女医の乳がん体験談、乳がん克服者の体験談などの講演と公開トークが予定されています。この機会にお話しを聞かれてみてはいかがでしょうか。

 

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