古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その10~大腸

大腸は食べ物の水分と栄養分の吸収と排泄

皆さん、こんにちは。 美容鍼灸師の折橋梢恵です。3月になって大分暖かい日が増えてきた気がします。外を歩く人の姿も冬場の厚手のコートから色鮮やかなスプリングコートに衣替えしている様子が伺えます。春の訪れももう間もなくですね。

さて前回は、六腑のうちの「胃」についてお話をしてきました。 今回は、六腑の4つ目、大腸の働きについてお話をしていきたいと思います。まず、現代医学での「大腸」の働きについて見ていきたいと思います。「大腸」の働きは、大きく分けると次の2つになります。

1つ目は、小腸から送られてきた食べた物の残りカスから身体に必要な水分などを再吸収することです。小腸で消化しきれなかった栄養分を大腸に存在する大腸菌などが更に分解し、残りカスに含まれる栄養分や水分を再吸収する働きを担っています。

2つ目は、食べた物の残りカスから便を作ることです。カルシウムや水銀などのような身体に不要な物質は、この残りカスとして排泄されます。水分などを再吸収された残りカスは、ドロドロの状態から硬い状態に変化し、便となって体外に排泄されるのです。

では、東洋医学(中医学)での「大腸」とは、一体どのような働きをするのでしょうか?
その働きについて見ていきたいと思います。

大腸は「肺」と表裏の関係にある

中医学における「大腸」の主な働きとしては、以下のような働きがあります。

①小腸から送られてきた食べた物の残りカスを受け入れ、余分な水分を再吸収する働きを持ちます。
②水分が再吸収された残りカスから便を作り、肛門から体外へ排泄する働きを持ちます。

小腸や胃などと同様に「大腸」の働きについては現代医学の大腸の働きとほぼ同様といえます。
つまり、食べた物の残りカスから身体に必要となる栄養分や水分を再吸収し、その残りカスで便を作る働きをします。

中医学では、この大腸の働きが低下することによって、便秘や下痢、排便の異常、お腹が鳴る、下腹部の痛みなどの症状が現れると考えられています。

また大腸は、臓の肺と表裏関係にあり、互いに深い関係にあるといえます。

例えば、皆さんは便秘が続いているとき、なんとなく吹き出物がでやすかったり、肌荒れを起こしやすかったりという経験はありませんか?

以前少しお話をしましたが、肌の状態は肺と深く関係していると考えられています。また肺と大腸は表裏関係のため大腸に異常(機能低下)が起こると、肺の状態にも影響します。そのため便秘が続くと吹き出物や肌荒れが出やすい状態になるのです。この場合は、肺と大腸の両方の状態が良くなる施術をしてあげる必要があります。「なるほど~」と納得して頂けた方も少なくないと思います。

「内臓の状態は肌に現れる」と言う言葉がありますが、まさに中医学においては、数千年以上も前から説明されていたことになりますね。

また鍼灸の古い書物には、「大腸は伝導の官、変化出づ」と記されています。「伝導」とは、「伝え導くこと」つまり、便を肛門から排泄することを意味しており、また「変化」とは小腸から受け取った食べ物の残りカスを便に変えることを意味しています。このように、食べ物の残りカスから水分が再吸収され、便が形成され、体外へ排泄されるという大腸の働きの一連の流れを「伝導」と「変化」で表していました。

また、大腸は五行で「金」に属しています。「金」の特徴は、変革や改革の意味を持つことから、大腸の食べた物を「便に変化させる」働きは、まさに金の特徴であるといえるのです。

臓腑の働き一つをとっても、中医学では、深い意味が込められています。皆さんもぜひこの機会に中医学に触れて頂き、興味を持って頂けると嬉しく思います。

では、次回は膀胱についてお話をしていきたいと思います。

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