古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その6~「腎」は老廃物の排泄からホルモン分泌を司る

皆さん、こんにちは。美容鍼灸師の折橋梢恵です。2月に入り、暦の上では、節分も終え、立春を迎えましたが、まだまだ寒い日が続きます。2月は、一年の中でも最も寒さが厳しい時期と言われていますので、皆さんも体調管理には、十分にお気を付けください。

さて今まで5回に渡り、古代中国医学の考え方「五臓六腑」についてお話をしてきましたが、今回は、「肝」、「心」「脾」「肺」に続き、5つ目の「腎」についてお話をしていきたいと思います。

「腎」は老廃物の排泄、ホルモンの分泌など
オールマイティーな活躍

皆さんは「腎」というと、どんな働きを持つ臓器だと思いますか? 現代医学での「腎」の働きは、老廃物を排泄するために尿を作っています。他の働きには、血圧の調節や赤血球の生成を促すホルモンの分泌、電解質の調節、カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDを作り出し、丈夫な骨を作るなどの働きがある大切な臓器の一つです。では、中医学での「腎」は、一体どのような働きをするのでしょうか? 実際に東洋医学(中医学)が意味する「腎」の働きについて見ていきたいと思います。

★東洋医学(中医学)における「腎」の主な働き

成長発育生殖活動に関わりを持っています。
②体内での水分の貯留排泄を調節する働きを持ちます。
深い呼吸と関係し、吸った空気を下腹部まで送る働きを持ちます。

腎は生殖器を管理する臓器

これらの中には、やはり現代医学にはない働きがありますね? その中でも、特に「腎」の特徴的な働きは、成長や発育、生殖機能を管理しているところです。子供が大人へ順調に成長していく(女子が生理を向かえ女性へと変化していく過程、また男子が声変りし、大人の男性へ変化していく過程)ために管理しているのは「腎」なのです。そのため、腎の機能が上手く働かないと、女性の場合は、生理がなかなか来なかったり、男性の場合は、男性らしいたくましい体つきにならなかったりします。

大人になってから「腎」の働きが低下すると、月経不順や不妊症、白髪や骨粗鬆症などの老化現象を招きます。そのため、私たち鍼灸師は、患者さんの中でこれらの症状を訴える方がいた場合には、まず腎の機能低下と捉え、腎の機能を高める治療を行います。現代医学において、月経不順や不妊症は、ホルモンが関与するトラブルだと考えていますが、東洋医学(中医学)では「腎」が関与していると考えています。これは、現代医学には無い面白い考え方だと思います。今回は、老化を予防するために腎の機能を高める代表的なツボをご紹介していきたいと思います。

★腎の機能を高めるツボ「太溪(たいけい)」

「太溪(たいけい)」は内くるぶしとアキレス腱との中間にあって、指先で押さえるとくぼみのあるところです。このツボは、上記に挙げたように月経不順や白髪や骨粗鬆症などのような老化予防にも効果的ですが、耳鳴りや腰痛、膝痛などにも効果があるツボです。これらの症状がある方ぜひ、太溪を指で押してみて下さいね。

今回で五臓と言われる「肝」、「心」「脾」、「肺」、「腎」のお話は終わりです。次回からは、6つの腑についてはお話をしていきたいと思います。