自然界のすべてに通じる古代中国思想「五行論」PART.4

皆さん、こんにちは。美容鍼灸師の折橋梢恵です。
毎日、暑い日が続いていますが夏バテはしていませんか? 精のつくものを食べて、水分をこまめに吸収し、熱中症にならないように気をつけたいですね。

さて、先日は、五行論の要素の中から、「火」に焦点を当ててお話をしてきました。
今回は、その要素のうちの「土」についてご紹介していきたいと思います。「土」とは、自然界に存在する土(つち)、地の特徴を表わしているといえます。この「土」の意味する性質を中医学では、「稼穡(かしょく)」という言葉で表し、農作物などを育て、また収穫するといった作用を表わしています。

「万物みな土より生ずる」という言葉があるように、この土の性質、様子から「養い育てる」「受け入れる」、「保護する」などの特徴や作用を持っているものをすべて「土」の分類に属するものとして考えています。

この「土」の性質に当てはまるものを五行分類の中からご紹介したいと思います。
五行分類で「土」に該当するものは、季節(五季)では長夏(土用)、方位(五方)では中央、色(五色)では黄、味(五味)では甘が当てはめられています。

五季のうち「長夏」(「土用」)の季節というのは、夏の終わりの土用を表わしているという考え方があります。「土用」とは、それぞれの季節の変わり目である立春、立夏、立秋、立冬の前18~19日間を指しているそうですが、ここでの土用とは、立秋の前18日間、つまり、夏の終わりを現しているという説があります。

先日、土用の丑の日がありましたが、皆さんはウナギを頂きましたか?
夏の土用の時期というのは、梅雨が明け、これから厳しい夏を迎える時期であり、暑い夏に向けて夏ばてをしないようにと昔から「精の付くもの」を食べる習慣がありました。

そこで、元気のでる食べ物=「ウナギ」が結び付き、現代まで受け継がれているのでしょう。

また人体を作っている器官や組織では、臓器のうち五臓の脾、五腑の胃、五感(五官または五根)の口、人体に存在する液体(五液)では涎(よだれ)が当てはめられています。鍼灸の治療においては、口の周囲に吹き出物ができるとしばしば、胃が悪いと判断します。これは、まさに五行分類からきた考え方なのです。

このように五行論(五行説)の考え方は、自然界のあらゆるものから私たちの身体や身近なものすべてにおいて用いることができる考え方だといえます。

最後に一つ食生活に対するアドバイスです。
五行論で、「土」に該当する五味は「甘味」とお伝えしました。薬膳で甘味は、気血を補い、身体を元気にする滋養作用があると考えられています。土とは、自然界のあらゆるものが育つ土台です。つまり、元気になる元を指すわけですが、身体が疲れているときには甘味の食べ物を取るとよいでしょう。

薬膳の考え方では、この甘味に該当する食材としてお米、小麦粉、カボチャ、さつまいも、ナツメ、はちみつ、などが挙げられています。まさに甘い味のするものが多く含まれていますね。
皆さん、少しずつ五行論(五行説)の考え方は、理解して頂けたでしょうか?
さまざまなものを五つに分ける考え方をもとに、皆さんも身近なものを五つに分類してみても面白いかもしれませんね。

次回は、五行論(五行説)の五つの要素のうち、「金」についてお話をしたいと思います。

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