セドナから愛をこめて「アイル・グラハムの光日記」 第4回

セドナに紅葉の季節がやってきた。地元や観光客にとって紅葉の一番の人気ポイントは、「WEST FORK」。それはセドナの中央を流れるオーククリーク(小川)の上流に位置するパーク。

入場料は車1台につき8ドル。セドナの町よりも標高が高いところにあるので、紅葉はここから始まる。ここの紅葉のピークが10月半ばごろから10月末にかけて・・。そして、紅葉は次第に下流へと移動し、11月初めごろオーククリーク沿いに見事な紅葉が広がる。赤や、黄色や、茶色・・ここがアリゾナ?と思ってしまうほどにみごとな眺めだ。「WEST FORK」は、年間を通して地元のハイカーにとても人気があるところ。
地元の人に「お気に入りのハイキング・スポットは?」と聞くと、まずここが返ってくる。たぶんそれは、見上げるほどに高い赤松の林の間をぬけるハイキングトレイルと小川のせせらぎが、内なる自分との会話を促進してくれ、マザーアース(大地)と強く繋がるのを助けてくれるからだろう。

 

ブリッジを渡ると90年前にここに入ってきた開拓者たちが植えたリンゴと洋ナシの木が両脇に列をなしている。落ちている木の枝を使ってリンゴを大地に落とす。パクッと一口食べると甘いジューシーな味が口の中に広がる。見た目とは大違いだった。日本のリンゴに比べるとアクみたいな渋めが少し口の中に残るがそれ以外は日本のフジみたいな味がした。大自然からの頂き物……ありがたい。

 

 

 

 

 

 

ハイキングトレイルはまずブリッジを渡る。しばらく歩くと開拓者の住居後に出くわす。火事で焼失してしまったため残っているのはレンガでできた家の壁と暖炉だけだが、今でもその家がとても大きかったのが想像できる。しばらく歩くと開拓者の住居後に出くわす。火事で焼失してしまったため残っているのはレンガでできた家の壁と暖炉だけだが、今でもその家がとても大きかったのが想像できる。

家の前には、天然の貯蔵庫がある。洞窟の入り口にドアをつけて収穫した果物などを貯蔵した。今はドアが取り外されていて中へ自由に入ることができる。外の強い日差しから洞窟の中に入るとヒヤッとする。よくできているなぁ……と感心してしまう。

 

 

 

当時の大統領もこの家に宿泊したようだ。

 

家の跡地から小川に出たら、誰かにじっと見られている気がした。ギョッ!それもたくさんの目……。見上げるとアスペン・トゥリーが脇でそびえ立っていた。ネイティブアメリカンたちはこの木の節を「スピリットの目」と呼んでいる。本当に目みたいだ。なんだか私の行動を見透かしているみたい。この木の前ではいい子になってしまうなぁ・・と思った。

 

 

 

 

 

 

しばらくトレイルを進むと赤い岩の間から水がしみ出しているところがある

 

 

 

 

 

 

かなり前に降った雨水が長い時間をかけて地層を通り抜けろ過されて出てきている。口に一口含む。つ~~めたいっ!ミネラルいっぱいの味がする。ツーンと透き通った味。岩の中ではクリスタルもたくさん育っている。パワフルな赤い岩とクリスタルの隙間を縫って出てきたこの水から生きる元気を頂ける。ありがたい。

 

ここは、高い絶壁の岩陰にあるトレイル。午後になるとすぐに日が陰るので、秋から冬にかけてのハイキングは午前中がお勧め。午後に訪れる場合は温かい服を持っていくと良い。夏は水着。蛇行する川は天然の流れるプールとなる。

 

 

 

日中の暑い日差しの中、ときどき秋のひんやりとした風が頬をなでる。紅葉し始めた木々がサワサワと揺れる。プラチナみたいな太陽の光がひとつひとつの細胞にしみ込む。深呼吸をするとジュニパーやサイプレスのハーブの香りが心地よく鼻空を通過して行く。ぜひ秋のセドナを全身で味わいにいらしてください。秋も格別です。素敵な毎日をお過ごしくださいね。ありがとうございます。

 

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