子供のための鍼灸「小児鍼」

みなさん。こんにちは。美容鍼灸師の折橋梢恵です。

みなさんは「小児鍼」という鍼灸の技術をご存知ですか?
鍼灸の技術においては、長い歴史の中で様々な技術が構築されてきました。
今回はその中から「小児鍼」という技術をご紹介したいと思います。

「小児鍼」は、主に乳児から小学生位までのお子さんを対象とした鍼灸治療の一つです。
歴史は古く、江戸時代の裕福だった堺の商人たちの間で、子どもたちの健康管理として盛んに行われていたそうです。

当時、鍼を行っていたのは漢方医です。
漢方薬、鍼や灸を使った治療は、一般的な庶民は受けられない大変高価な施術だったと思います。そのような流れから関東ではあまり馴染みがありませんが、今でも関西ではその習慣が残っているそうです。

数十年前には、「疳の虫(かんのむし)」を改善しようとするお母さんに連れられた子供によって、鍼灸院の前には行列ができたそうです。そのような親子たちを対象に出店が並び、縁日のように毎日賑やかだったという話を聞いたことがあります。

「小児鍼」は、大人の治療とは異なり、「刺さない鍼」を使用します。そのため「小児鍼」の施術では、子どもの皮膚を軽くこするように刺激を行い、気や血の流れを良くすることで、体の不調を整え、元気ですくすく育つお手伝いをします。

この「小児鍼」で使用する鍼は、主に円鍼やてい鍼といった特殊な形をした鍼です。材質は銀が多いようですが、稀に金の鍼を使う先生もいるようです。

昔から銀は邪を払う力があると言われていますが、「小児鍼」の場合は熱の伝導が良く手にとるとすぐ温まることや、皮膚をこする際のあたりが柔らかいことからこの材質は好まれています。

現代では、「病院に行くまでには至らないが、どこか調子が悪い」「病気ではないが元気がでない」などといった症状を訴える方が多くなりました。これは大人だけではなくお子さんにとっても同じだといえます。

鍼灸はこのような訴えに対応できる技術です。大人の方は鍼灸治療、お子さんにとっては小児鍼が対象となりますので、何かお身体のことで不安を感じた際には、是非鍼灸も選択肢の一つとして覚えておいて頂けると幸いです。