体のココロを読み取ってナチュラル・スリムになる秘訣

私たちの体には、体自身の意思というものが備わっています。
それは「こうしたら、こうなるはず」といった頭の計算とはかかわりなしに、独自の知性と判断力でもって、体に関する様々な変化を自動調節してくれています。
世間に出回る多くのダイエット法が、いくら実行してもなかなか痩せない、一時的に痩せても、すぐリバウンドしてしまうというように、失敗する例が圧倒的に多いのは、それが体自身に備わる意思、つまり体の“ココロ”を無視して組み立てられているからなのです。

例えば、ダイエットの一般常識となっている大原則。
〔飲み食いした物の摂取カロリー〕-〔運動や基礎代謝による消費カロリー〕

の計算結果がマイナスであれば、その分痩せる。プラスであればその分太ると理解されていますよね。けれども私は、この理論とは正反対の体験を何度も繰り返したのです。
何しろ、厳しい低カロリー食と激しい運動を組み合わせた、マイナスカロリー生活を続けていながら、信じがたいことに体重がじわじわと増加していったのですから。

ところが一転、〔食べる量=摂取カロリー〕を増やし、〔運動量=消費カロリー〕を減らす、つまりカロリー収支がプラス方向になる生活に変わった途端に、今度は常識とは逆に体重が減っていったから驚きました。

カロリー科学とは真逆の結果となったこの現象のワケを、体のココロに沿ってご説明しましょう。
体のココロを一貫して流れているのは、「現在与えられた条件の中で、なるべく最善のバランスを取り続けよう」という志向性。
だからもし、必要なだけの栄養が与えられない状態が続いたら、自分が今持っている栄養の蓄えである体脂肪を手放すまいとして、自己防衛心のカタマリとなって、溜め込む力を強めます。
けれども、十分な栄養が与えられて満たされる状態が続いたら、安心して手持ちの体脂肪を気前よく手放せるようになるんですね。

このように、太る・痩せるは単純に「食べる量が多い・少ない」「運動量が多い・少ない」では決まらず、体自身が栄養分や体脂肪を、「溜め込もうとしているか」「手放そうとしているか」によって決まるのだと言えます。
体が気前よく体脂肪を手放せる状態に持っていくために必要なのは、「体が欲しがっているものを満たして、安心させてあげる」こと。これは、目の前にある美味しそうな物を手当たり次第に食べるということとは違います。まずは、次の2つの食べ方術を身につけましょう。

①お腹に聞きながら食べること
必要な栄養は人によって違いますし、同じ人でも時によって変わります。
それをタイミングよく満たしてあげると、体の満足感が高まり、過食も防げます。
自分の体が今、何を欲しがっているのかを判断するには、コツがあります。
目から入った視覚的な刺激や、「これは体にいいから」といった思考にとらわれずに、お腹の内側から湧いてくる感覚を基準にするよう、意識を切り替えてみて下さい。
目の前の食べ物に条件反射的に手を伸ばす前に、それを口に入れて味わい、呑み込んでお腹の中に収まったところを想像してみて下さい。
その時、お腹が喜んでいる感覚があれば、それは“当たり”なので、どうぞ食べることを楽しんで。逆に、違和感や満たされない感覚、あるいは重くなる感じがしたら、やめておくのです。

②喜びと感謝の念を味わいながら食べること
食べ物に感謝しながら食べると、食後の体温上昇によるエネルギー消費量が高まるのをご存知ですか? 「おいしい……!食べてよかった……!」という喜びと感謝の念は、心身のエネルギー循環を高めてくれるのです。
逆に「これを食べたら太っちゃう」と恐怖心を抱きながら食べる癖があると、エネルギー消費は鈍くなり、体脂肪を溜め込む方向に傾きやすいと言えます。