伝説的ドラマ『NIGHT HEAD』の飯田譲治監督 見えない世界を探求する「これからのVISION」~後編

現在、放送中の山田優さん主演ドラマ「VISON~殺しが見える女~」(木曜日11:58~日テレ)。ある日突然、殺人現場の映像が見えるようになった売れないモデル(山田優)が、その能力に苦しみながら、難癖のある刑事と事件に立ち向かっていくというストーリー。

スピリチュアルな能力を突然授かり戸惑いながらも、事件や自分の運命に立ち向かう主人公を題材にしたこのドラマの原案・脚本は、「NIGHT HEAD」「ギフト」「沙粧妙子 最後の事件」など、見えない世界、第六感を超える世界を描き続ける飯田譲治監督。
「スピリチュアルは自分にとって当たり前のこと」、と語る飯田監督に「VISON」というドラマについて、そしてご本人が考えるこれからのVISONを語ってもらった。

―昨年、3.11があって人々の意識が大きく変わったと思います。監督自身は3.11で何か変化がありましたか?

僕自身は、変わったというより、今のこの世の中がすごくおかしくなっているということを“わかった”という感覚。そして多くの人もそれをはっきりと認識しましたよね。反原発のデモに20万人が集まるって凄い変化だと思います。マスコミや政府の言葉をそのまま信じていたんじゃダメなんだっていうことに多くの人が気づいたという意味は大きいと思いますよ。音楽の世界でも、昔は忌野清志郎が脱原発の歌を歌ったり、伝えたいことを伝える人がいた。けれど、最近は斉藤和義が「騙されてたまるか」と原発に対して歌っていたけど、彼以外はいないでしょう。「逆らわないで生きることが素晴らしい」っていう価値観は違うんだということに気づいて、「自分は自分である」「自分がこうする」と決める。やっぱり、自分の意思で自分の人生をつくっていかなくてはいけないですよね。

―監督は、これからの世の中を乗り切って生き残っていくためには、どんな要素が必要だと思いますか?

はっきりコレとは言えないけれど、「決断力」「行動力」が大切なのではないでしょうか。けれど、誰が生き残るか、誰が死ぬかは運命だと思います。昔、富士山の落石事故で生き残った家族の話があるんです。集団で登山していた人たちが、物凄い大きな落石にあって、リーダーは「危ないから皆伏せろ!」って言って、皆伏せたら運悪くそこに石が来て死んでしまった。でもある家族だけ生き残っていて、その家族はお父さんが「伏せてもやられる」と判断して、家族に「一列に並べ」って言ったんです。そして、お父さんが一番前で落石をじっと見て、「右だ!」「左だ!」って言って、落石をよけ続けて無傷で済んだっていうテレビゲームみたいな話ですよね。彼らは「運を天に任せる」のではなく、自分の決断力と判断力で生き残ったわけです。

―それは、今の時代にも通じますよね。「今はこうゆう時代だからしょうがない」と天に任せているのではなくて、事実を受け入れて我が身は自分で守るという強さを持つということですよね。

その家族の場合は、きっとその人が生き残るのも運命だったんだと思いますよ。だから、今生きている人というのは、生かされているんですよね。僕も完全には理解していないと思いますけど、死ぬ時は決まっている、ただそこまでの過程をどうするかというのが自分の選択なんだって言われたことがあります。何年何時何分に死ぬのは決まっている。それを、不摂生して病気になって苦しみながら死ぬのか、身体に気をつけて健康で最後死ぬのかどうするかを決めるのは自分。だから、明日死んでもいいというつもりで生きることが大事なんですよね。

―監督は、ご自身の心身のケアでされていることはあるんですか? 聖者やスピリチュアルな方にお会いされることも多いと思いますが、ヨガをやったりベジタリアンだったりする方も多いですよね。

運動は、ヨガではないですけれど、週に1回はファイトネスという格闘技をフィットネスにアレンジしたものをやったり、フットサルもたまにやったりしていますね。心の面で言えば、瞑想はしています。割と気持ちが鬱になりやすいので、自分なりに気持ちを保つということを心がけていますね。作家には多いみたいですが、人と話したり人と会っているときは鬱が外に見えないけれど、一人だとどんどん悪い方に思考が行ってしまう時があるんです。だから、身体を動かしたり、瞑想したりして、エネルギーを発散するようにしています。僕自身はベジタリアンじゃないですね。減らそうとは思っていますけど、自分が今のこの環境のなかで肉を食べないということは、そんなにいい事のように思えないので。特に撮影中は、いろんな人と戦って作品をつくりますから、肉を食べないと戦えないと思ったりしますしね(笑)。

 

「木曜ミステリーシアター VISION 殺しが見える女」
毎週木曜日 夜11:58~
出演/山田優、金子ノブアキほか
http://www.ytv.co.jp/vision/index.html

 

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