ダライ・ラマのお膝元、ダラムサラ体験記。第14代ネチュン・クテンとは? 読経の希少写真。Photoで見るパワースポット!

チベット亡命政府が置かれている、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州にある町がダラムサラだ。郊外のマクロード・ガンジー地域にはダライ・ラマ法王のお住まいもある。郊外と言っても確か筆者の記憶だと歩いても行ける距離。目に飛び込んでくるのはヒマラヤ山脈。右を見ても左を見ても深いえんじ色の僧服をまとった僧侶たちがいる。土産物屋にはマニ車やタンカ、水晶などが溢れ、インセンス専門店は、日本では嗅ぐことのない草原のような香りに満ちている。小さな町のなかに今や消えそうなチベット文化が凝縮されていて、チベットの人々は、かつてのチベットの

首都ラサをしのんでか、マクロード・ガンジーをリトル・ラサと呼んでいる。

ダラムサラを訪ねたのは何年前だろうか? 滞在したのは確かたった2日。その間に当たったらけがをするぞ!というほどの雹も降り、チベットの守護神を降ろすという14代ネチュン・クテンにもお会いし、ダワ博士にチベット医学で脈診をしていただいた。その脈診は、まさにヒーリング。脈をとっていただいた瞬間から号泣してしまった……。 濃厚で決して忘れられない時間。リトル・ラサはしっかりと現代に寄り添いながらも、まるで誰にも知られずひっそりと生活するシャーマンたちが暮らす村のように、脈々と伝えられるスピリチュアリティを保っていた。 お蔭様で筆者は取材を通じ、様々な国に行かせていただいた。インドはもちろん、中国の杭州、台湾、ベトナム、スリランカ、カナダ、メキシコ、ペルー、ノルウェー……。そうはいっても限られた経験だが、そのなかで、ダラムサラは、もしかしたら、最ももう一度行きたい場所かもしれない。小さな都市なのに。 ダラムサラを立ち去る時には、マクロード・ガンジーから車で山を下りる途中、頭が妙にクラァ~とした。まるで何かの結界を通過するときのように。思わず振り返り、今私が居た場所は本当にあったのだろうか?”と、自分に一瞬問いかける。まるで時空のなかに隠された町を訪れていたような感覚が湧き、そして懐かしい。ダライ・ラマ法王をはじめ、多くの祈り、そしてヒマラヤのパワーによってダラムサラは構築されているのか? そんなダラムサラの空気を写真でお届けします。

 

14代ネチュン・クテンが守るネチュン寺院からはくっきりとヒマラヤ山脈が見える。 ネチュンとはブッダ・ファミリーである、アミダーバ(阿弥陀如来)の系列神

 

ネチュン寺院で一心に読経を捧げる僧侶たち。左最前に座されていらっしゃるのが、第14代ネチュン・クテンだ。かなり貴重な写真だ。面白いと思ったのが、皆、身体を揺らしつつ読経をすること。日本で行われるダライ・ラマ法王のご講話のご様子に近い

一心不乱に色付けをする絵師。これも修行の一環だそう。いわゆる絵具ではなく岩絵の具によって作業は行われる

ダライ・ラマ公邸のそばにあるチベット寺院。人々は五体投地をし祈り続ける。祈るのはチベットの復興か、世界の平和か。いずれも同じ根源

この清らかな世界を胸に納めて、わが胸の静けさを問う。日々、餓鬼畜生の気持ちになったり、時に菩薩のような気持ちになったり。美しい境地は必ず自分のなかにもある。 今では景観も変わり、もっと都会になっているであろう、ダラムサラ。けれど、そのスピリチュアリティは普遍であり、我々が守り残し続けたい。

 photo:Keiko Urata