ホリスティック栄養アドバイザーMihoの“少しずつでもいいじゃない”Vol.4 身土不二inドイツ

ホリスティック栄養アドバイザーMihoの“少しずつでもいいじゃない”Vol.4 身土不二inドイツ

今だけの貴重な味

私の住むドイツでは、一年で今のこの時期にだけ食べられる「あるもの」を売るために、路上に小屋が出没します。この露店スタンドが建ち始めると、ドイツ人にとって心がウキウキする特別な季節がやってきたことを意味します。ここで売られるもの、それはドイツ国内の農家で収穫された白アスパラガスといちごです。短い期間だけ、露店スタンドや市場などで、その日の朝に採れた新鮮な白アスパラガスといちごを買う事ができます。4月中旬になるとアスパラガスが売られ始め、5月下旬ごろになると加えていちごも仲間入りします。

薬草でもあるアスパラガス

日本ではグリーンアスパラガスのほうが主流ですが、ドイツではアスパラガス(シュパーゲル)といえば白アスパラガスのことを指します。グリーンアスパラガスにだけ「グリーン」と付け加えて呼ぶほどです。農家直送の露店スタンドでアスパラガスを買い、食することは季節行事のひとつでもあり、それは春の到来を喜び楽しい気分を運んでくる特別な意味も含んでいるのです。

新鮮なホワイトアスパラガスは、みずみずしく香り高くやわらかい食感で本当に美味。定番の食べ方は、茹でた白アスパラガスにオランデーズソースというバターと卵黄で作られたソースをかけ、茹でたじゃがいもとハムなどを添えたものです。残ったアスパラや細いものは、クリームスープにするのも家庭の定番のようです。

このように春の食卓を鮮やかにしてくれるアスパラガスですが、本来アスパラガスは古くから薬用植物として使用されていました。アスパラガスにはビタミン・ミネラル・食物繊維が多く含まれ、水分代謝を促したり免疫に働きかけたりします。アスパラガスに含まれるアミノ酸の一種であるアスパラギン酸は、アンモニアを排除し、新陳代謝を高め疲労回復を促します。また、抗酸化の働きがあるルチン・サポニン・フラボンなども含まれます。通常私たちが野菜として食する部分は茎と芽の部分ですが、自然療法では根の部分が使われます。古代ギリシア時代には、アスパラガスが尿路、肝臓、脾臓などの疾患に薬として使われていました。このため、アスパラガスは自然療法では浄化・解毒の薬用植物とされているのです。

初夏のシンボル ドイツのいちご

アスパラガスが出始めてから1カ月ほどすると、いちごの季節になります。日本に住んでいた頃は、いちごの旬は冬だと思っていましたが、露地栽培される自然ないちごの旬は5~6月です。ドイツでは、ドイツ産いちごといえば、露地で栽培されたもの。この時期には、多くの農家がいちご狩りのため解放され、自分で摘みとった分をグラム単位で買う事ができます。毎年いちごの時期にいちご摘みに出かけて、翌年までのジャムをまとめて作る家庭も多いです。ハウス栽培のいちごに比べ、露地栽培の旬のいちごは断然おいしく、口に入れるとさわやかな甘味と奥深い香りを感じます。いちごにはビタミンCや葉酸、食物繊維が多く含まれます。

ビタミンCや葉酸といった水溶性ビタミンは光や熱に弱いため、露店スタンドでその日の朝に摘まれたいちごを手に入れることができるのは、栄養面からも有難いことです。

栄養素や効能などを頭で知ることとはまた別に、土地の旬のものを食べると体が芯から喜ぶのが感じられます。まさに、その土地のものを、その季節に、その日収穫したての、新鮮なものを食べられる幸せ。それと同時に、アスパラガスは春のはじまりを知らせ、いちごは晴れ晴れとした初夏の気分を運んできてくれるのです。その新鮮な命の恵みに体は歓び、長い冬の終焉と待ち望んだ太陽の季節に心が躍る、アスパラガスといちごは、そんな特別なシンボルでもあるのです。

身土不二(しんどふじ)-その土地と体は切り離せないー

身土不二という言葉があるように、私たちは自然の一部であり、自然から切っても切り離せません。寒い地域には体を温める食物が産まれ、暑い地域には体を冷ます食物が産まれる。本来私たちの体は、住んでいる風土に合った食べ物を摂って生きるようにできているのです。

現代は一年中様々な国からの食品を手に入れることができ便利ですが、体は本物を知っているようです。便利な現代の恩恵には感謝しつつ、心も体も季節感を忘れずにいたいものですね。