木から産み出された環境にも人にも優しい農薬『木酢液』

お風呂に入れることで、「血行促進、そして酢酸の力によって角質を溶かし、肌を綺麗にするという効果」があります。また、直接肌に塗布すると、殺菌成分が強いために、「水虫には特に効果的」ともいわれています。

【農薬の功罪】

農薬というと、「あまりいいイメージがない」という人も多いことでしょう。害虫を殺すだけでなく、野菜に残留し人間にとって悪影響を与えるほど強いものがあるという説もあります。実際、昔は発がん性があるような農薬もあったようですが、近年では厳しい審査が行われるようになり、きちんと認可されるまでに何十年もかかるレベルになっており、その安全性は格段に高まっています。

しかしながら、より自然な野菜を食べたいという思いから、最近では農薬を使わない農業である「有機農法」や「無農薬農法」が行われるようになりましたが、こちらは害虫駆除に非常に手間がかかるために、野菜が高価になったり、かといって、害虫を放置しておくと野菜が防御反応として、「体内に有毒な成分を作ってしまう」というデメリットも存在しています。さらに、最近では農薬よりも、化学肥料を使った場合の方が「残留肥料によって健康に害がある」という説も出てきており、出来るだけ自然に近づけながらも、労力をかけずに美味しい野菜を収穫する方法が模索されているわけです。

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【強い殺菌力を持つ木酢液】

そんな中で、注目を集めているのは「木酢液(もくさくえき)」。製法自体は今から「300年以上前に確立した」と考えられているほど古いものです。こちらは、「木炭を作るときに出る副産物」であり、最初の頃は「酢酸」を作り出すために行われていました。酢酸は「染料や火薬、燃料などの原料」となるために、いわば「天然の化学薬品製造」だったわけです。しばらくしてから、人工的に酢酸などを合成することが出来るようになったために、化学薬品目当てでは木酢液は作られなくなりましたが、「強い殺菌力を持っている」ことから、様々な用途で使われてきました。

 

【偶然から生まれた木酢液の使われ方】

前述したように、「木材を炭にするときに発生した煙が冷えることで生まれた液体」が木酢液なのですが、そこには「数百種類の成分」が含まれています。主成分は酢酸であり、これがあることで、強酸性となり殺菌や殺虫という力をもっていますが、他にも有効な成分は多くあるのです。それを実証したのが、不要になった木酢液を水田に捨てたら、稲の生育が良くなったというもの。つまり、防虫だけでなく、肥料的な効果も秘められていることがわかりました。これをきっかけに、昭和中頃になってから、本格的な研究が色々と行われ、一時期は木酢液が「正式な農薬として認定されていた」こともあるのです。

なぜ、現代では農薬して認定されなくなったのかというと、木酢液は、「素材となる木の質によって効果が一定しない」ために、科学的な観点で多くの条件をクリアしなければならなくなった、新しい農薬の品質基準を満たさなかったからなのです。ただし、個人が使う分には自由ですので、現在でも木酢液を農薬兼肥料として使うことで、大きな効果をあげている人もいます。