〜リーディングの現場から No.3〜
もうかれこれ、10年以上お付き合いのある男性クライアントさん。
そのお母様、小柄でちょっとおきゃんで可愛い方で、西からはるばる、リーディングにいらしてくださっていました。
私は親しみを込めて、生意気ながら「ちいちゃん」と呼んでいました。
ちいちゃんはクライアントさんである息子さんが独身であることをいつも心配していました。
そんなちいちゃんが病に倒れ、鶴見邸のある藤沢までは来られなくなってしまってから時折、電話でお見舞いをしていましたが。
八月に入って、ちいちゃんが夢に出てきました。
碧い、和風の素的なお洋服をお召しになって。
「鶴見さん、永らくお世話になりましたなあ。いつもありがとな。あんなあ、鶴見さん。私、えらいんやで。最後に一仕事、したんやで。あの子、きっと来ると思うのん、そしたら私が頑張った、言うてや。」
「ちいちゃん、わかりました。必ず。今日のお召し物は素的ですね。」
「ああ、こりなあ。大島紬をリフォームして作ったんや。この鉄さび色の花模様が好きやね。」
そして、ちいちゃんはさいならなあ、またなあ、と言って去っていきました。
その晩、クライアントさんから電話が来ました。
「おかあさん、今朝、亡くなってしまいました……」
「それは大変ご愁傷様です……でも、ちいちゃんね、今朝の夢で会いましたよ。碧いお召し物であいさつにみえましたよ。」
後日、クライアントさんがリーディングにいらして。
「僕ね、こんな時だけれど出会いがあったんだよね。優しい、感じが良い人だった。お母さんとその人のお母さんと、なんと実家が近くでね。ねえ、この人のこと、どう思う?」
「どうって、お嫁さんになる人ですよ。ちいちゃんの最後の一仕事、お嫁さんを探すことだようですよ。」
「やっぱ、そうかな。そうだよね。ねえ、いつプロポーズしたらいいかな。」
「今日でもかまいませんよ。早いほうがいいと思いますよ。」
四十代半ばですが、まだまだ素直なクライアントさん……。
後日、彼から電話があって、
「プロポーズ、成功したよ。出会って一か月だけど、受けてくれたよ。」
「そりゃ、良かったですね。ちいちゃんも喜んでいると思いますよ。」
「そういえば、あんなあ鶴見さん、葬儀の時にね、お母さんの棺にね、おばさんがお母さんが大好きだった洋服を入れてあげたんだよね。」
その後の言葉に私は胸が熱くなりました……
「それがさあ、茶色い花模様がある碧い大島紬を洋服にリフォームしたものだったんだよね。先日、会ったときに言い忘れてさ……」
最後に一仕事として”息子孝行”をしたちいちゃんでしたが、クライアント様も最後に”親孝行”をし、ちいちゃんはその素敵なお洋服で私に会いに来てくれたのでした。
鶴見明世 タロットスクール第3期生<スタンダードコース(初級)>申し込みはコチラ:
鶴見先生のワークショップはTRINITY SHOPよりお申し込み頂けます:
前回の記事はこちら:
Part.12〜幸運を招くビリケンさんの笑顔〜