戊 の意味は「陰陽の繁雑」
安岡正篤 『干支の活学』によると、戊は「つちのえ」と読み、茂と同じ意味を持ちます。
樹木が茂ると、風通しや日当たりが悪くなって、虫がついたり、梢枯れしたり、根上がりしたりして、樹が傷みます。
枯れる場合もあります。
だから思いきって剪定する必要がある、という意味です。
戌 は 「繁雑の中に陽気を蔵する」
同じく安岡正篤 『干支の活学』によると、戌の戊は茂と同意で、一は陽気を意味し、草木茂る中に陽気を蔵する意味があります。
そのほか、思い切って刈り込んで風通した日当たりをよくし、根固めをするという意味もあります。
そうしてこそ木が生きる。中の「一」は、木にそれだけの生気が残っていること(陽気)を表します。
「戌」も「戊」も枝葉末節が茂っていくことを示唆します。
思い切って裁成し、この陽気を生かしていかなくてはいけません。戌の年であれば、まだ一新していくことができます。
また白川静 『字統』によると、戌は戉(まさかり)の刀部を主とする形だそうです。
季節でいうと、戌は陽気の衰えとともに多くの実りを得る9月(新暦ではおおよそ10月)です。
象形としては戊・戌いずれも剪定・剝削に用いる道具であり、それは繁雑を前提としています。
2018年は思い切って行動し、陽気に一新すべき年
戊戌の2018年は「新旧・陰陽が繁雑に交差し、枝葉果実がいよいよ生い茂っていく中で、陽気を見定め、真剣な果断によって刷新すべき年」と言えます。
ちなみに犬と戌はどう違うの?
「イヌ」には、「戌」「狗」「犬」と3種類の漢字があります。
「犬」は、犬を横から見た象形文字から出来た漢字で、一般的な犬を指します。
「狗」は、「句」という文字が「小さく丸まる様子」を表していて、「小さく丸まるケモノ」から「小さな犬」を表します。
ところが、「戌」という漢字は、上記のように動物の犬を意味する漢字ではありません。
戌は「収穫した穀物を纏める」という意味で、収穫期もの「9月」を表す漢字でしたが、十二支の漢字に選ばれたため、もともとの意味は完全に忘れ去られました。
十二支を庶民にわかりやすく広めるために、難しい漢字に親しみやすい動物を当てはめたとき、9月を指す「戌」に「犬」を当てはめたのが始まりです。
ですから、実は「犬」と「戌」にはなんの関係もないそうです。
干支と関係が深い神社
現代の暮らしにおいて干支の意味は薄れつつありますが、実際には生活の中に数々の干支が息づいています。
例えば、戌の日の岩田帯(安産祈願)、財布の蛇の抜け殻(=金運お守り)、赤べこや犬張子(魔除けやお守り)です。
神社に祭られている神様の使いにも十二支の動物が多く採用されています。
例えば稲荷社の狐、大黒神の鼠、天神社の牛、春日大社の鹿、八幡社の鳩、諏訪神社の白蛇、出雲大社の海蛇などです。
神使とは、神意を代行して現世と接触する者と考えられました。
ですから、神使である眷族にも信仰が集まり、崇拝の対象となりました。
2018年の十二支の戌年には、東京都青梅市にある狼を神使とした武蔵御嶽神社などにお参りしてみてはいかがでしょうか。