絶対的な悪を象徴する邪悪の樹

「物質主義」「不安定」「貪欲」「色欲」「醜悪」「残酷」「無感動」「拒絶」「愚鈍」「無神論」。面白いのが、最も虚無に違いところに「無神論」があることです。

【高次と光を象徴し、タロットとも関わる生命の樹】

スピリチュアルな世界でも知られている「生命の樹」という図形があります。こちらはカバラの神秘思想をベースとして「物質界から、高次の世界までを象徴的にあらわしたもの」であり、一部のタロットカードにも強い影響を与えています。こちらは、「神聖幾何学的なシンボル」として扱われることもあり、エネルギーをもった図形ともされています。今回は、そんな高次と光をあらわす「生命の樹の裏側に潜むもの」を紹介しましょう。光があるところには、必ず闇があるのです。すなわち「邪悪の樹」です。

 

【無の殻で構成される邪悪の樹】

生命の樹が「セフィロト」と呼ばれる「10個の光の球」で構成されているのに対して、邪悪の樹は「クリフォト」と呼ばれる「10個の殻」で構成されています。光に対して、ストレートな闇ではなく、「殻」であるところに意味があります。

便宜上、光にたいして「闇」というように表現していますが、邪悪の樹は正確にいうと「虚無」となっています。宇宙空間やブラックホールのような「混沌として、何もない場所」といった感じですが、それをよりネガティブにしたものがクリフォトなのです。この10種類のクリフォトは、物質世界に近い部分から虚無へと向かって、それぞれ次のような名前がつけられています。

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【意外と身近にある邪悪】

「物質主義」「不安定」「貪欲」「色欲」「醜悪」「残酷」「無感動」「拒絶」「愚鈍」「無神論」。面白いのが、最も虚無に違いところに「無神論」があることです。これは、生命の樹と同じように、カバラの思想がベースになっているせいだとは思いますが、「現代社会にいきる多くの人が邪悪の樹の影響を受けている」と考えることも可能かもしれません。

ちなみに生命の樹には、天使や惑星などが照応していますが、邪悪の樹には悪魔や魔神といった邪悪な存在が設定されています。比較的になじみ深い悪魔でいうと、無神論には「ルシファー」、愚鈍には「ベルゼブブ」、残酷には「アスモデウス」といった感じであり、それぞれに手下といえる魔族と、より上位である魔神も設定されたりします。

 

【ファンタジー世界を感じさせる魔族たち】

魔族に関しては、いつ頃設定されたのかはわかりませんが、天使よりもよりファンタジーな世界を感じさせられるものとなっています。たとえば無神論の魔族である「タウミエル」は双頭の巨人であり、愚鈍の「ゴーギエル」は蛇の身体をもつ黒い巨人といった感じであり、巨人が悪の側に設定されているというのは、「ギリシャ神話の影響」が感じられます。

 

【私たちのすぐ側に潜むクリフォト】

高次の存在や天使を象徴する生命の樹に比べると、あまり注目されない邪悪の樹ですが、前述したようにそれを構成するクリフォトは、比較的「私たちになじみが深いもの」です。どれもが、人間がもっている要素ですので、それらの感情が肥大することで、「人間がたやすく闇の側面へと落ちてしまう」ことをあらわしているわけです。つまり、高次の世界とは違って、暗黒の世界というのは努力することなく、ちょっとしたきっかけがあれば、私たちが誰もが陥ってしまうといえるでしょう。では、そうなると人間はどのようになってしまうのでしょうか?

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(画像はウィキペディアより)

 

【クリフォトに捉えられた人間の行く末】

クリフォトの世界に入ってしまうと、「生命エネルギーが流出する」と考えられています。虚無である世界へと向かって流出することで、エネルギーはどんどんと失われ、それによって「判断力、生命力が低下し、場合によっては精神を病んだり」もします。そこで、命を失うケースもありますが、「クリフォトと同化してしまう」こともあります。そうなると、自分自身は害されなくとも、「人を平気で傷つけることができるようになってしまう」のです。いわゆる「サイコパス」は産まれながらにクリフォトと繋がっているという説も存在しています。物理的なレベルでなく、霊的なレベルでクリフォトに繋がった場合は、いわゆる「エナジーバンパイア」となります。側に居るだけで、「人のエネルギーを吸い取って、虚無へと送る存在」に変わってしまうのです。

「混沌、虚無、闇の世界」というと遙か遠い世界のように感じるかもしれませんが、高次の世界よりもさらに身近にあるものです。だからこそ、その存在をはっきりと理解し、自分がそちらに行きそうになった時には、しっかりと自分をコントールし、いつも通りの自分になることが大切です。そのための、指針として「10個のクリフォトを覚えておく」というのは重要なポイントとなりますので、自分が陥りそうになっているクリフォトがないかどうかをチェックしておくといいでしょう。