日本神話の隠された事実を学べる連載小説!
~あらすじ~
昭和東京オリンピックの日、主人公ちい子は川のほとりの神社で謎の青い瞳の少女に出会う。
ちぃこの息子テルヒコが生まれ、学生時代より謎の夢に導かれるようになってゆく。
照彦のいのちをかけた岩戸ごもりライフがスタートする。そんなおり、少女と少年は邂逅を果たす―!
すべてをすてた照彦は彼女の手をつかむ。「君の、名前は……セリナ」
少女と少年は誰も知らないふたりだけの世界で永遠に暮らすことを誓うのだった。
だが夢のような時間は、すぐに砂のように奪われてしまう……。
※原作 ともくん 小説のキャラクターデザイン※作画 トム/白ノ希望/あらら
——前編より——
さよならセリナ
蛇の姿のセリナは怖かった。なぜならたまに声が男のような低い声になる。この時すごむと、さすがに可愛いとは思えない
でも、じゃれついてくると、正直言うとかなり、ドキドキしてしまう自分がいることにテルヒコはおどろいた。
不思議な生活だが、これも悪くはないかな……と思っていると、ある日不思議な陰に出会う
その影をついていくと、肥大化し、自分によりついてこようとしてきた。
「テルヒコ! 近づくな!」セリナが制止すると、その影はにんまりと笑い、村の集落の人々の姿になった。
「水神様だあ……こりゃおらだちのすみがだあ おめえみたいなもんはとっととけえれ!」
彼らを見ると明らかに半透明だった。ああ、この人々は死んでいる。
そのほかにも、ロープが首に巻き付いた青ざめた目玉が飛び出したサラリーマンや
警察官などが来た。しかし、彼らも半透明。
みんな、この場所でもしかして……
セリナは何かを悟ったかと思うと「おぬしら誰に許可を得ておるか。うちの子には触れさせんぞ」すぐさま龍蛇となり
テルヒコの周りを半周しガーっと獣のごとく叫んだ。
「汚らしい御霊の集まりじゃのう……すまん、ちょっとさきにいっておけ」
セリナ? 君はどうするの? という問いかけを無視するかのように
何も言わず彼女は彼らを問答無用に喰らいつくした。よくよく見ると彼女が攻撃すると彼らは煙のように消えた。
さきにいくと、こんどはテルヒコのテントが消えていた。
テントはない。ん? みるとそこに来ていたどこだかの不良グループが山に花火に遊びに来ていたのである。
しかも場が悪く、警官の死体の手が土から飛び出していた。
「これは……! 人間の死体!」
うわ~! と叫びだし、逃げようとすると、テルヒコのノートパソコンやなにからなにかまでの生活用具がすべて倒された。
「ん? うわやべえ、誰か来たぞ! おい、こいつもいっしょに」
これはまずいことになってきた。殺人の現場に居合わせてしまったのだ。
さっきの警察官、こいつらに……
すると俊敏に龍蛇が飛び込み、テルヒコの人格が豹変した。
「この、蛆虫どもがー!」テルヒコが絶対に言わない言葉であった。
おそれおののくテルヒコ、月明かりとともに真っ赤な光が体中に輝いた。
彼の額には不良たちが見た時には角が生えているように感じられた。
驚いた不良集団の一人がナイフを出すが、ナイフがテルヒコに当たった時、テルヒコの体は刃物をへし折る硬さとなっていた。
「おまえみたいなやつらがいるから……」
そうテルヒコが言うと、おびえてしまった不良たちは一目散に逃げだした。
意識がもうろうとする中で、セリナは泣きながら「人間の心のままのお前と今のわしではここまでしか一緒にいられぬ。
すまぬテルヒコや。もっと、もっといっしょにくっついていたかった。でも、お前の住んでいる世界は人間の世界じゃ。」
「わしはお前が幸せに生きてくれるほうがいい」
足元には、無数に張られた結解がテルヒコの足で破壊されているのが見えた。
もしかして、この中で僕はこれまで生きていたってこと?
やだっああああ!!!!!! このままいくなああああああああ!!!!!!!!
はなみずをたらしながらセリナは叫んだ。やっぱりいってほしくないい! といって
テルヒコをつかんだ。
テルヒコにすがりついてしばらく二人はそのままだった。
「おまえがいくなら、お前を殺す!」
「お前が死ねば、お前をここに閉じ込めてやる! そうなればもう」
彼女は焦っているように思えた。この結解は、意図的に用意されたものだったのか。
この中では、セリナといれたってこと?
セリナは、最初からそのつもりだったの?