クリスマスに行われるちょっと危険な遊びは、精神を鍛える為のものだった!?

クリスマスがいよいよ近づいてきました! 西洋では、家族や親しい人を招いてパーティが行われるのが常ですが、その「パーティで行われる遊び」の中に「危険な遊び」というものがあります。はたしてどんな遊びだったのでしょうか。

 

【スナップドラゴンをご存じですか?】

西洋ではクリスマスに家族や親しい人たちとパーティをするのは、当たり前になっていますが、そんな「パーティで行われる遊び」に「snapdragon」もしくは「flapdragon」と呼ばれるものがあるのをご存じでしょうか?
日本語にすると「スナップドラゴン」だと「はぜる龍」といったような感じです。
とにかく「ドラゴン」という言葉がポイントになっています。
この遊びは、子供がやるものであり、有名な『鏡の国のアリス』や、「名探偵エルキュール・ポアロ」が活躍する『ハロウィーン・パーティ』という小説でも紹介されています。

こういった有名な小説に登場することからもわかるように、「16世紀から19世紀」にかけては、かなりポピュラーな遊びであり、「イギリスの王室でも行われていた」という記録が残っているほどなのですが、近年ではめっきり行われなくなりました。
その理由は「危険」だから。
子供の遊びだったのだから、危険といってもそれほどではないだろうと思うかも知れませんが、実際には「大人でもチャレンジするのに勇気が必要になる」遊びだったのです。

 

【危険な遊び】

それでは、スナップドラゴンの遊び方を簡単に説明しましょう。
まず、浅めのお皿を用意します。そこにレーズンを載せて、ブランデーをかけます。
そうしたら、ブランデーに「火をつけます! 」
当然、ブランデーはレーズンと一緒に燃えますが、燃えているうちに、そこから「素手でレーズンを取って食べることができるかどうか」、という遊びなのです。
浅いお皿を使うので、すぐに火は消えますが、燃えている間にレーズンを取るのがポイントということですので、かなり度胸が必要であり、ちょっと間違えると「火傷をする可能性が高い」ものです。
つまり、火を使うことから、火を噴くドラゴンの名称が冠せられたわけです。

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【呪術的な裁判である盟神探湯】

こういった事情もあって、スナップドラゴンは現在ではほとんど行われなくなっていますが、日本ではこうした「熱と火を使った技法」は遊びではなく、「儀式」として行われてきました。
古代日本で行われていた「盟神探湯(くがたち)」もそのひとつ。
こちらは、非常に「呪術的な意味合いをもった裁判方法」です。
真偽を判定する必要が出てきた場合、対象者は神にたいして自分の潔白を誓ってから、「煮えたぎる熱湯の中に手を入れます」。このとき、「正しければ火傷をせず、正しくなければ火傷をする」とされているのです。

常識的に考えれば、正しくとも、正しくなくとも、熱湯に手を突っ込めば、「誰でも火傷をしてしまう」ので、中世の魔女裁判のように有罪とすることを前提とした儀式のように思えるかもしれませんが、実際には、「ある程度の合理性があった」と考えられています。
しかしながら、現在ではさすがに盟神探湯は行われておらず、その名称は釜で湧かした熱湯を使って浄化をするための儀式という意味合いが強くなってきています。

 

【修行の成果を試す火渡り】

似たような火を使った修行法としては、「修験道」で行われる「火渡り」というものがあります。
これは、「真っ赤に焼いた炭の上を素足で渡る」というものであり、ちゃんと修行が出来ていれば「火傷をすることはなく、熱さすら感じずに渡ることができる」というもの。
物理的に考えると、修行のよしあしで火傷するかどうかが決まるというのはナンセンスですが、同じようにこちらにも、行われる意義と火傷をしない理由というのが存在しています。