母から娘への愛がこもった花ふきんに込められたスピリチュアリティ

刺し子という技法を使って、ふきんに美しい模様を描きだした「花ふきん」。本来は「母親が嫁にいく娘に持たせるための、いわば嫁入り道具」だとは、皆さんご存じでしたか?

【母親の気持ちが込められた品】

現代からすると、ともすれば男尊女卑であり、嫁の地位が低いことがわかるエピソードというとらえ方も出来ますが、同じような経験をしてきた母親だからこそ、「娘が嫁ぎ先で苦労しないようにと、長い時間をかけて様々な模様の花ふきんを作っていた」わけですので、その娘への愛は非常に美しく感じられます。 そんな込められた気持ちだけでも、充分特別な品物ですが、「無数に存在する模様にも意味があります」。果たして、それを当時の母親が知っていて作ったのかは定かではありませんが、花ふきんに使われる模様の多くは、「吉祥文様」なのです。 242505850

【花ふきんのスピリチュアルな要素】

たとえば、「七宝つなぎ」という模様があります。こちらは、同じ大きさの円を互いに交差させた「七宝」という図案が繋がっているものですが、その名前は仏教でもっとも貴重な財宝とされる「金、銀、瑠璃、シャコ、珊瑚、瑪瑙」をあらわします。さらに、文様自体が無限に続きながら、縦横に広がっていくことから、とても「縁起のいい文様」だといわれているのです。 他に「靑海波」という模様もあります。こちらは、平安時代に同名の舞楽で使われた衣装の文様だったのですが、そもそも「演目がおめでたいもの」だったこと、そして規則的に続いて居ていく波の力をあらわしているその姿から、「末永く続いていく縁起のいい文様」とされています。 他にも長寿のシンボルである亀をモチーフにした「親亀」「子亀」や、勝利や魔除けのシンボルである「矢羽根」、神聖な植物をモチーフにした「麻の葉」、魔除けの力を持つ「籠目」など、さまざまなスピリチュアルな意味合いをもった模様が花ふきんには使われているのです。 199159613

【大切な人や、嫁入り前の人に花ふきんはいかが?】

針仕事などを家庭で行うことがなくなってきた現代ですが、最近ではその美しさと、込められた母の愛情などから、「花ふきんに注目が集まってきています」。今月に入ってからは暮らしの手帖社から『嫁入り道具の花ふきん教室』という刺し子の方法や、秘伝の模様まで紹介された書籍が発売されています。 これからどんどんと夜が長くなっていきます。もともと、刺し子は冬がき長い東北で家の中で女性が行っていた技法という説もありますので、大切な人のことを思って、縁起の良い模様に、「一針一針に心を込めて、ふきんをつくりあげてみませんか?」 なれてくればふきん1枚あたり、3時間程度で可能とのことですので、これからの秋冬の間に、何種類も作って大切な人にプレゼントしたり、これから結婚する予定の人にプレゼントするというのも素敵かもしれません。 208368415   Mother’s heart was muffled. Meaning of the celebration pattern.