先祖返りしている飴

飴の元祖である水飴も、古来の製法に近い麦芽と餅米で作っている会社も存在しており、これからはこのような飴の元祖の方が一般的になっていくというの健康志向の現代には向いていて、充分にありえるといえるでしょう。たまには、変わった飴を手に取ってみるのはいかがですか?

【長い歴史を持つ飴】

「飴」というのは、私たちにとって非常に「身近なお菓子」です。そんな飴ですが、実はかなり歴史が古いものです。「飴」という呼称自体は『日本書紀』にはすでに登場しているのです。

『日本書紀』の成立は奈良時代ですので、今から「1300年以上前」から飴は存在していたことになります。さらに、その記述によると神武天皇が飴を作ったということですので、その場合は「2000年近く前」からあったことになります。しかしながら、この飴は現在のような固形のものではなく、今でいうところの「水飴」を示します。

 

【飴の語源は「甘い」】

飴の語源は「あま味」「あま水」から来ているのではないかといわれています。つまり、当時の「甘さの象徴」だったわけです。このことからもわかるように、現在一般的に使われている「砂糖や蜂蜜などよりも古くから使われていた甘味料」でした。

水飴がどういう経緯で発見されたのかは定かではありませんが、「古代の人は炭水化物にジアスターゼという酵母を作用させることで、甘みを得られる」ことを知っていました。簡単にいうと、「麦芽や発芽玄米」などの「酵母を持つ素材」を「餅米」などの「炭水化物」に混ぜるということになります。ちなみに、麦芽よりも、「米もやし」と呼ばれるいわゆる発芽玄米のほうが古くから使われていたようです。

142647856

 

【神へのお供えに使われていた水飴】

それだけ貴重だった飴は、当初は「神へのお供え」として使われていました。また、糖分はエネルギー補給に最適であるために、「高価な薬」としても使われていたのです。ある程度製造法が確立されると、「料理のための調味料」としても使われるようになりました。室町時代には、砂糖が輸入されるようになりましたが、当時はあまりにも高価だったために、甘味が庶民でも普通に食べられるようになったのは、砂糖が一般人でも手に入られるようになった江戸時代頃からとなります。

この時代になると、水飴ではなく、それを固形にした今でも見かけるタイプの飴がお菓子として食べられるようになり、砂糖を添加した高級品で甘みの強いものなども登場してきます。さらに、加工技術が発展したことで、飴細工も登場し、一挙にお菓子としての幅が広がったわけです。

 

【お菓子から薬に戻りつつある飴】

長らく手軽に食べられるお菓子の代表だった飴ですが、時代がたつと共に様々なお菓子が登場してきたこともあり、近年ではどちらかというと、のど飴などの「薬的な意味合いをもった飴のほうが一般的」になってきています。

 

【漢方薬が入った飴】

のど飴には漢方薬が配合されていたりしますが、最近では「伝統的な漢方薬をベースにした飴」というものがでてきています。のど飴でも有名な「UHA味覚糖」は「陀羅尼助丸(だらにすけがん)」をベースにした、「味覚糖 陀羅尼助飴」というものをエリア限定とはいえ販売しています。「ストレス社会に向けた常備用の飴」というコンセプトのようですが、陀羅尼助丸は「1000年以上の歴史を持つ漢方薬」であり、役行者が製法を伝えたといわれる神秘的なものです。元々は山中で山伏が使っていたものが、その効果の高さから全国的に広まった漢方薬ですが、胃腸への効果はもちろん、その「苦味の強さでも有名」です。

また、多くの生薬が配合されている「漢方薬酒」として有名な「養命酒」は、昨年、その味を体験して貰うことを目的として、「養命酒風味オリジナルキャンディ」というものを作っています。こちらも限定ですが、養命酒の独特の風味が再現されているとして話題となりました。

78454186

 

【飴の行く先は健康志向か?】

砂糖が一般的になり、人工甘味料や合成甘味料、さらには天然でも様々な甘味料が開発されている現代において、飴は本来持っていた薬としての方向性が、今後、生き残る道なのかもしれません。ちなみに、飴の元祖である水飴も、古来の製法に近い麦芽と餅米で作っている会社も存在しており、これからはこのような飴の元祖の方が一般的になっていくというの健康志向の現代には向いていて、充分にありえるといえるでしょう。たまには、変わった飴を手に取ってみるのはいかがですか?

The origin of the candy.
Candy to regain of medicine.

 

《ベーターくん さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/betar/?c=78809