風は知っています 〜風はあなたを知っています。そしてあなたにいつも語りかけています〜

風は情報を運んでいます。 味わったすべてを運んでいます。

 

「本当の自由とは、風」

今朝、私の家のドアをノックした風は、
ドアの横に茂るオリーブの樹をなで回しました。
オリーブの葉の表側は緑色でも、裏側はシルバー色をしているその葉たちを
まるでスカートをめくるように、すっかりシルバー色にしながら、
オリーブの樹をからかっている。
そして、庭の花やハーブに優しく触れてその香りを楽しんで
そうして今度は、隣の家の庭にしのびこんでいきます。
風が香りを楽しんだあとには、庭は植物の香りがあふれます。

風には立ち入り禁止地域はありません。
国境もありません。
風は本当に自由。
地球のすべてを味わうことができる。
本当の自由とは風なのだと思います。
姿も見えないので、捕まえることもできない、どこにいるのかもわからない。
ただ、風が現れたあとには動きが生じます。

風は情報を運んでいます。
味わったすべてを運んでいます。

植物は、風がないと元気を失います。
風によってホルモンが活性化されるので、風がないと種や雌しべや雄しべの状態が正しく機能しなくなることがあります。
そして、花粉を運んだり受け取ることも風の大切な役目。

室内で植物を育てるとき、人間の目で見ると、
寒さや暑さなどが管理され、完璧な環境を与えているように感じることがあっても、室内に閉じ込められた植物は元気をなくしていきます。

本来、外で生きる植物たちにとって室内の暮らしは、
地球という家族から引き離され、分離された状態になります。
植物は、風の話を聞いています。
風が運ぶ世界の様子を教わっています。

人は足を持ち、歩く! という行動をとることで、世界を知っていきます。
植物たちは地に足をつけて、風を聞くことで世界を知る方法を選びました。

私たちは自分の興味を持った方向に、自ら足を向けるやり方を!
植物は大地に根を下ろしてしっかりそこに立って、その場所から世界を知る方法を選択したのです。

私たち人間が得る情報は、どれだけ頑張っても
いつでも全体のどこかしらの部分です。
でも、植物は部分ではなく、いつでも世界全体です。
それは、ここにいて世界全体を感じているからです。

人は、感じる方向に動き、
植物は体全体をセンサーにして世界を感じています。

私たちは植物からもっともっとたくさんのことを学ぶことができそうです。

 

「風は命からあふれ出てくる波動です。」

会社に向かう人で溢れるオフィス街の混雑の中を吹き抜けた風は、
ゆううつや疲れを人々の中に知りながら、
一人一人に挨拶しました。
その風は、今は海を渡り、
時に鯨の潮吹きに出会いながら、
イルカのジャンプをくぐり抜けながら、
アフリカの生き物の世界に向かっているのかもしれません。

あなたの前を人が歩くと、あなたは風を感じます。
あなたが歌を歌うと、誰かの心に響きという波動が生まれます。
あなたが誰かを思うとき、ため息が溢れます。
ライオンのあくびや、鳥たちの羽ばたき、
海に向かう川の流れや、
浜辺のあなたに届く、海の匂いと共に波と共に現れる風や……
地球上の生きとし生けるものの動きがすべて溶け合って風は生まれ、
そして、生きとし生けるものの中で風は動いていきます。
風は命からあふれ出てくる波動だとしたら、
風は命のささやきです。

今日は風に耳を傾け感じてみませんか。
風はあなたを知っています。そしてあなたにいつも語りかけています。

 

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