人間の守護者であり、予言の力を持った偉大なる存在プロメテウス

なぜ、これだけプロメテウスが人間に肩入れするのかという理由ははっきりとわかっていません。巨大な神の一族でありながら、取るに足りない人間を常に守護したことから、そもそも「人間を創造したのはプロメテウスではないか」という説もあるほどです。

【人間の守護者プロメテウス】

「プロメテウス」という神様がいます。ギリシャ神話に登場する神様なのですが、私たち人間にとって非常に重要な働きをしたために、現在でも、様々な作品にその名前が取り上げられるほどです。日本では「プロメテウスの罠」というテレビ番組がありますし、世界的に見ると、2012年には有名なエイリアンシリーズの系譜となる、そのものずばり『プロメテウス』という映画があります。

このように、名前を聞くことが多いプロメテウスですが、なぜこれだけ人気があるのかは、なかなか知られていません。彼がこれだけ長い年月にわたって人気を集めているのは、「人間の守護者」だったからなのです。世界中に様々な神話がありますが、基本的に神々というのは、私たち人間よりも上位の存在であり、「時としてたやすく人間の運命をもてあそび」ます

 

【神々にとって人間は取るに足らない存在】

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有名な例をあげると『旧約聖書』で「神と悪魔が殺した人間の数」というものがあります。こちらは、聖書に記述されている犠牲者の数をカウントしたものですが、その結果、神が殺した人間の数は「2,476,633人」になったというのです。ちなみにこれは、ある程度数がわかるものだけを集計しており、「人類をほぼ滅亡させたノアの大洪水」や、「町全体が壊滅させられたソドムやゴモラ」などのケースは含まれていません。それらを含んだ場合は、数千万単位の人が死んでいる可能性もあります。ちなみに、悪魔の聖書に明記されている犠牲者数はなんと「60人」という非常にささやかな結果となっています。

神々からすれば、人間というのはそれぐらい「取るに足りないもの」だったという一例ですが、多かれ少なかれ、他の宗教の神様も同じような虐殺を行っています。そんな中で、プロメテウスは常に人間に便宜をはかってきました

 

【予見の力を持っていたプロメテウス】

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プロメテウスはギリシャ神話の神様ですが、「ティターン神族」と呼ばれる一族の出身です。現在ではギリシャ神話の主神といえば「ゼウス」が有名ですが、彼はティターン神族の後に台頭してきた「オリンポス神族」です。この二つの神族は対立しており、最終的にはゼウス率いるオリンポス神族が勝利するわけですが、プロメテウスは自分の一族ではなく、ゼウス達に協力します。これは、彼がもっていた「予見の力」のせいだとされています。

プロメテウスの名前は「先見の明を持つ者」という意味をもっています。つまり、彼には「未来を見通す力」があり、それによって自分の一族が敗北することが見えていたために、ゼウスに協力していたわけです。さらに、この能力はプロメテウスが人間に肩入れし続けても、なかなか罰せられなかった理由にもなっています。では、具体的に、どのように人間に肩入れしたのかを紹介しましょう。

 

【人間がお肉を食べられるのもプロメテウスのおかげ】

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ギリシャ神話では、比較的人間と神の距離は近いのですが、あるときゼウスが「人間と神の食べ物を区別しようとしたとき」に、プロメテウスはその判断を自分に任せて欲しいと願い出て、牛を殺して一方は「肉と内臓を胃袋で包んで皮の上」におき、もう一方は「骨のまわりに脂身を巻き付けて美しく飾り」ました。ゼウスは一見すると美味しそうに見える脂身と骨を選んでしまい、これによって人間は「美味しくて栄養のある肉や内臓を食べる権利を得た」のです。