ココロセラピストが語る!『綱引きの法則』とは? ~不幸な人は過去に引きずられ、幸せな人は未来を自ら手繰り寄せる

遠い未来のことは分からなくても近未来の幸せだって構いません。ちょっと先の未来に向かって綱を引っ張ってみましょう。

人は不幸が好きなのかもしれない!?

カウンセリングの依頼に来る人たちの多くは自分を不幸だと思っているようです。
カウンセリングに興味の無い人の中にも、もちろん自分を不幸だと思っている人たちはたくさんいます。
一人で悶々と自分の不幸を嘆いている人もいれば、誰かれ構わず捕まえて来て自分の不幸を熱く語り続ける人もいます。

世の中には、よくよく考えてみると、なんでこんなにも不幸が蔓延しているのかと不思議でなりません。
確かに世の中が無条件で幸せに満ち溢れていて不幸などという概念は実は存在しないと言ったようなことはありません。
生きていれば楽しいこともあれば辛いこともあるのです。

にも関わらず、世間は不幸話で満ち溢れています。
テレビや雑誌にも不幸話の特集の方が多いのではないでしょうか。
確かに誰かの幸せな話を聞いても自分が惨めに思えて来たり、羨ましくて腹が立ってしまうかもしれません。
そう考えると、不幸な情報と触れ合っている方が心が落ち着くのかもしれません。
もしかして、人間は根本的に不幸が好きなのかもしれません。

 

人は不幸が好き…か、どうかは問題では無い!!

しかし人は不幸が好きなのかと聞かれたらほぼ間違いなく「何を言ってるんですか!そんなはずあるわけないじゃないですか!」と声を大にして反論したくなると思います。
もちろん僕もそうです。
進んで不幸になりたい人なんて、おそらくいません。
いたとしてもかなりレアなケースだと思います。
不幸が好きなわけではないのです。
僕たちは幸せになりたいのです。
誰に何と言われようと幸せを望んでいるのです。
ただ、そこに何か不思議なパワーが介在しているに過ぎないのです。

 

インナーチャイルドって誰?

『インナーチャイルド』という言葉をご存知でしょうか。
日本語で言えば『内なる子供』です。
あなたの心の中に住んでいる小さな子供をイメージしてくれるとわかりやすいと思います。
もちろん、これは表現上の話です。
人間を分解すると小さな子供がコクピットのような場所にいて…というわけではありません。
ただ、子供というイメージの方がしっくり来るから、そう呼ばれているのだと思います。
ちなみにインナーチャイルドとは何かというと、幼少期の記憶や感情などの象徴と思って下さい。
簡単に言うと、インナーチャイルドを癒すと心は元気になる。
そう解釈して下さい。

カウンセリングやその他セラピーのセッションでは、『心の傷を癒す』ということを『インナーチャイルドを癒す』という言い方をする人もいます。
もちろんインナーチャイルドが必ずしも傷ついているわけではなく、癒したらインナーチャイルドが消滅してしまうという事はありません。
少々ややこしいですが『心の傷=インナーチャイルド』ではないので参考までに。

 

『綱引きの法則』とは?

インナーチャイルドも僕たち同様、というか僕たち自身のことですので幸せになりたいと願っています。
しかしインナーチャイルドが不幸になってしまうと、本体である僕たちは不幸になってしまいます。
つまりインナーチャイルドを不幸から解放してあげれば僕たちも必然的に幸せになれる、もしくは近づけるということです。

インナーチャイルドは、いつも見えない誰かと綱引きをしています。
その見えない誰かは過去のネガティヴな記憶に意識を向かわせる綱を引っ張っています。
これがまた強敵なのでとても厄介です。
少しでも気を抜こうものなら、一気に引っ張られてしまいます。
そうするとどうなるかというと、過去の嫌な思い出や感情で頭の中が埋め尽くされてしまうのです。
不幸にも種類はあるのかもしれませんが、これが僕たちが不幸に陥りやすい原因なのです。
一方でインナーチャイルドは未来の希望に向かって綱を引きます。
勝つと僕たちは希望を見いだせるので幸せになれます。

少しわかりづらいかもしれないので具体的な例を挙げます。
小さい頃、毛虫に刺されたとします。
気持ち悪いし、痒いしどうにもなりません。
もう悲しくて惨めな気持ちでいっぱいです。
この記憶と結びついた感情に引っ張られると、現在進行形で自分が不幸であるかのような気分になってしまいやすいのです。
毛虫が嫌いでももちろん構いません。
しかし、その時の不快感に意識は向かっているので、毛虫がいようがいなかろうが自分は不幸であると勘違いしてしまうのです。

 

自分を不幸だと思い込むと、さらに不幸なエピソードを探してしまいます。

「そういえば、自転車の練習をしていたら転んでしまったっけ。痛くて悲しくて辛かったのに、通りすがりのオバサンにくすくすと笑われて屈辱だったなぁ…」といった、低レベルな不幸だろうとなんだろうと手繰り寄せて行きます。
恐ろしいことに、それを現在にも勝手に当てはめてしまいます。
「そういえば、今までもずっと(?)不幸だった。だから、今日も彼氏と喧嘩になったんだ…」という具合です。
そうなると「これから先も、きっと私は惨めで不幸な生涯を…」となってしまいます。
これが極端に酷いと、何らかの病名がつくかもしれません。
ちなみに信じなくても良いですが病院で薬を貰ってきても意味はないと思いますのでお勧めしません。

 

インナーチャイルドは楽しい未来に向かって綱を引っ張ります。

内なる子供は過去のトラウマの象徴みたいに思われがちが、夢を見たって良いのです。希望の未来を望んだって構わないのです。
将来イケメンと結婚してウハウハという未来に向けて意識の綱を引っ張れば、実際に未来がどうなるかは確実ではないにしても、現在までもが何故か楽しくなってきます。
過去のネガティヴと現在(いまここ)に何の因果関係が無くても「私は不幸だ!」と定義して結び付けてしまうのと同様に、楽しい未来の方向に綱を引っ張ると現在と望んだ未来に何の因果関係が無かったとしても「私は幸せだ!」という気持ちになるのです。
もちろん幸せな気持ちになったとしても、それを単なる妄想で終わらせないためには行動が必要です。ここは重要なポイントでもあります。

 

遠い未来のことは分からなくても近未来の幸せだって構いません。

ちょっと先の未来に向かって綱を引っ張ってみましょう。
たとえば来週、修学旅行だったとします。
グループ分けも幸運なことに仲良しの子と一緒です。
行き先も自分の行きたかった場所です。
もう、修学旅行のことを考えただけで楽しくて仕方ありません。
すると、どうでしょう。
まだ一週間も時間があるのに毎日ドキドキワクワクしますよね。
毎日幸せな気持ちになれるのです。
今日という日が必ずしも楽しいという保証はなくても幸せな感情のリアリティだけは現在も存在するのです。

一見してネガティヴでも、意識を良い方向に向けると現在の辛さを軽減することもできます。
たとえばブラック会社に勤務していたとします。
「今まで上司にあれこれ理由をつけて会社を辞めさせてもらえなかった。法的には2週間で辞められるはずなのにパワハラも良いところだ…」という状態だったとします。
もし、こういう状況だったら本当に悲惨だと思います。
でも念願かなって退職届が受理されたとします。
すると、イジメが続いていようが、サービス残業が続いていようが、「後○○日で私は晴れて自由の身なんだ!」と思えたら、ある程度の辛さなら乗り越えられる気がしませんか。
本来ならば今日という日も決して幸せとは言い難い状況でも、希望のある未来に綱を引っ張ることで、今日という日まで幸せになれるのです。

つまり、意識を何処に向けるかで幸福の感じ方も変わってくるのです。
現実は変えられなくても感じ方は変えられるのです。悲観的になって、自暴自棄になるよりも少しでも本当に輝いている未来に一歩でも前進できるように意識を向けて行動した方が、はるかに人生は充実するのです。

「でも、そうは言うけど、もう…どうして良いか…私、わかりません…」と思うかもしれません。
確かにその通りだと思います。
本当に辛い時や、どうにもならないときは確かにあるのです。
そんな自分を責めたところで、鞭打ったところでどうにもなりません。ただ、そんなときは思いだして下さい。
あなたにはきっと味方がいるということを。
場合によっては心の専門家が必要な時だってあると思います。
頼って良いのです。誰かに頼っては負けと思い込んだりしないでください。
独りで抱え込んでしまう事の方がもはや罪です。
もし、信頼できる誰かに自分の苦痛を共感してもらえたら。
もし、信頼できる誰かに傷を癒してもらったり、未来に向けて肯定的な話し合いが出来たりしたら…。
もし今、不幸のどん底にいたとしても、未来に希望が見えてきませんか?

 

》前回の記事はこちら《