コーラは1日に200mlだけしか飲んじゃいけない!? 糖化を防いでいつまでも健康でいるために。

WHO(世界保健機関)が1日に摂取する“糖類”の推奨量を一気に下げた事、ご存知でしたか?

前回、乳幼児のスポーツドリンクの飲みすぎによるウェルニッケ脳症についてお話をしました。

ウェルニッケ脳症は糖の過剰摂取と、糖代謝に必要なビタミンB1(チアミン)の欠乏によるものですが、実は同じビタミンB1欠乏症に脚気(かっけ)という病気があります。
名前を聞いたことある方は多いですよね。

脚気は日本やインドネシア・ジャワ島などの米食文化地域のみにみられる特有の病気で、江戸時代には武士や町人に流行し「江戸患い(えどわずらい)」と呼ばれ、明治以降は軍隊でもこの病気に悩まされました。
脚気は名前こそおどろおどろしくないですが、死に至るおそろしい病です。
明治11年〜16年の6年間の日本海軍兵士の総員は29,321名でしたが、そのうち脚気の罹患者はなんと9,516名で、割合にして32%! 当時どれだけ脚気が問題になっていたかが想像できるでしょう。

この病気が流行った原因は、白米やうどんなど精製された穀物の主食ばかりを食べ、野菜や豆、雑穀などの摂取が不十分であったことです。
精製された食品には糖質の代謝に必須のビタミンB1はわずかしか入っていません。

ちなみにですが、
このビタミンB1を発見したのは実は日本人なんですね。鈴木梅太郎です。
いろんな意味で今をときめく理化学研究所の設立に携わった人ですね。

今でこそ脚気はほとんどなくなりましたが、それ以上に現代では糖の過剰摂取が問題となっています。

 

■甘いものは1日にたったこれだけ!

最近、WHO(世界保健機関)が1日に摂取する遊離糖分(ハチミツやシロップ、果実ジュースに天然に存在する糖類、および製造元や消費者が食品に添加する糖類)の推奨量を一気に下げたのをご存知でしょうか?
これまでは、肥満や生活習慣病を予防するために、遊離糖分は1日の総摂取カロリーの10%未満にすることを推奨していたのですが、今年3月に総摂取カロリーの5%未満にすべきと変更したのです。

具体的にいうと、日本人の成人女性の1日のカロリー所要量はおよそ2,000kcalです。
その5%は100kcal。これは糖質およそ25g相当(スティック砂糖約8本分)です。

糖質25gってどのくらいかというと、

オレンジジュース(濃縮果汁還元) 220ml
コカコーラ 220ml
ミルクチョコレート 0.8枚分
ガリガリ君 1.4本分

こう見るとジュースの糖分ってかなり多いんですね。220mlなんてあっという間に飲み干してしまいますよね。
それはともかく、1日にたったこれだけしか食べられないんですよ!
1日にオレンジジュース200ml飲んだら、あとはジュースもお菓子も一切ダメ!
かなり厳しいですよね……。
実際この発表後、欧米ではさまざまな反論が出ているようで、そもそも当初の10%未満という数字すら守れていない国がほとんどだそうです。
海外には「おえっ!」ってなるほど激甘のお菓子多いですもんね。

この総摂取カロリーの5%というのはあくまで遊離糖分の話で、お米やパン、麺類などの糖分は含んでいないです。
だからといってたくさん食べてもいいというわけではないですよ。
消化吸収速度は遊離糖分に比べたら遅いとはいえ糖分に変わりませんから。

「それならノンカロリー飲料(人工甘味料飲料)にすればいいじゃん!」
ってのはちょっとお待ちください!
人工甘味料については以前のコラムをぜひお読みください。

「じゃあ糖質制限食がいいじゃん!」
って考える人もいると思いますが、ぼく自身はいわゆる「糖質制限食」は推奨していません。
糖質摂取を減らすことには賛成ですが、糖質以外は何を食べてもいいという考えにはとても賛同できません。

 

■スイーツがどうしても食べたい!!

こんな記事を書きながらも、ぼくはパンケーキとかチョコレートとか大好きで、糖分けっこう摂ってます……。ははは……の反省ですね。

ところが、ぼくは一見太ってもいないですし、毎年の健康診断も循環器系等はすべてA判定です。
以前、糖化(簡単にいうと身体がどのくらい糖に蝕まれているか)の検査をしたときも同年齢の平均よりも下だったのです。

その原因を考えてみると、一番大きいのは「運動」だと思います。
ぼくは昔からハードなスポーツをやっていたので、筋肉もそれなりにあって、糖の燃焼も早いんですね。
もちろん今でも運動はしています。

もう1つは「食事の摂り方」でしょうか。
野菜やフルーツは普段から積極的に摂りますし、スイーツを食べる前に野菜や納豆を食べたり、食物繊維や白インゲン豆のサプリメントなどを飲んでおくので、糖の消化吸収が遅かったり阻害されているはずです。

どうしてもスイーツを食べたいときの対処法としてぜひ覚えておいてください。

はじめにもうしたとおり糖の代謝にはビタミンB1が欠かせません。
しかしビタミンB1は不足しがちな栄養素の1つで、国民栄養調査においてもビタミンB1は食事で必要な量の半分しかまかないきれておらず、残り半分をサプリメントなどの栄養補助食品でカバーされているのが現状です。
ましてスイーツ好きな人にとっては、ビタミンB1はサプリメントで補うのが現実的かもしれないですね。

いずれにせよ、糖質の摂取を抑えていこうとするのは世界的な流れのようです。
糖質は本来人間に必要な栄養素ですが、現代人は無意識に過剰に摂りすぎています。
糖は意識して抑えてしていかないといけないですね。