一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.74 「寄生獣 完結編」

映画「ALL WAYS 三丁目の夕日」の監督×脚本家が再び強力タッグを組んで、人気漫画「寄生獣」を実写化した完結編が登場!

寄生獣と人間それぞれの闘い
深く憂慮させられるラストは意味深

地球に異星人というのは昔からたくさん来ていて、今も、というか、ここ最近はより増えているらしい。普通に仕事している会社の上司が実は異星人だった、なんてふうに、彼らは巧妙に人間に成りすましているという。それは異星人だけじゃなくて、天使や神様も人間に姿を変えて私たちの生活に溶け込んでいる。

そして、私たちに気づきや学びを与えてくれている。

異星人の目的は地球や人間の調査、研究が多いらしいが、あまり邪悪な異星人の話は読んだことがない(ハリウッド映画とかSFじゃなくて実際のところ)。

しかし、邪悪にしたほうが話は面白いんだろう。本作も人間に寄生して脳を奪い、人間社会を支配しようとする寄生生物と、右手だけをパラサイトされた少年との闘いを描く。前作では人間を食らうシーンや、殺戮シーンがエグすぎて何度も下を向いてしまったのだが、本作ではあるシーンで号泣してしまった。

それは、寄生生物が人間味を見せたシーンなのだが、ロボットものでも、宇宙人ものでも、それらが人間に近くなると感動する確率はグンと高くなる。要するに、「心」を持つと感動させられるわけだ。しかし、それらが「心」を持つと大抵は破滅という展開になる。そこに観客は魅かれ涙するのだと思う。

今脂の乗った売れっ子脚本家古沢良太と、ここずっと快進撃の山崎貴監督が「ALL WAYS 三丁目の夕日」以来再びタッグを組んでの本作。彼らは人間の「心」がどういう時に動くかを熟知して優れたエンターテインメント作を作り上げた。

面白い、だけじゃなくて感動で泣かされもする。「巧いなあ~」と今回も彼らの仕事に感心しきりだった。

寄生獣 完結編サブ①

寄生獣の親玉、田宮良子の母性
母の愛には誰しも不可抗力

さて、私が号泣したシーンについて少し。

それは人間に寄生して、人間の子供を産んだ田宮良子のクライマックスだ。彼女は人間と共存していくために人間を知ろうと赤ん坊を産み、結果だんだんと母性のようなものが湧き上がってくる。そのために捨て身となるのだが、そこ。そこなんです。彼女はまんま普通の人間の母親の行動をとる。

原作では冷静に読めたのに、やはり映画では音楽や音やカット割の間や動きも微妙な表情もあって、ものすごくたたみかけられるように気持ちが盛り上がった。前作の主人公の少年の母親のシーン、そして本作の母親、田宮良子のシーン、リンクさせているところも巧すぎなんだよって。

寄生獣 完結編サブ③

「神性」を忘れるなかれ
私たちはそれに拠って生きていくことができる

この映画は主人公の少年の成長ものでもある。また、私たち人間という生き物が実はどういう「邪」を持っている生き物であるかも描いているわけだが、ラストシーン、私は「永遠の0」とかぶりました。私たちはどうやって生きていけばいいのか……?

これから地球は大変な時代に突入するって、もう突入してるわけだけど、今、「寄生獣」という作品が映画化されるということもすごく意味があることだと思う。

これから、もっと異星人たちは私たちにアプローチしてくると思う。

また、私たちの中には「邪」はあるが、それ以前に「神性」というものがあり、それを忘れてはいけないということ。「神性」を取り戻せば、「邪」に負けることはないのである。それには、日々ちゃんと食べてちゃんと寝て、ただ無心に生きればいいのである。

寄生獣 完結編サブ④

 

 

■全国上映中

■監督・脚本 山崎貴

■脚本 古沢良太

■出演 染谷将太 高橋愛 深津絵里 阿部サダヲ 新井浩文 浅野忠信 大森南朋 北村一輝 ピエール瀧 豊原功補

■117分

©2015映画「寄生獣」製作委員会

PG-12