しなやかな思考と意識が新たな道をひらくーアーユルヴェーダ伝道師 Vol.3ー

アーユルヴェーダを含むヴェーダ哲学の根幹にある大切な「思考」のお話とは?

今回はアーユルヴェーダから離れて思考の話をします。実はこれがアーユルヴェーダを含むヴェーダ哲学の根幹にある大切なことなのです。

『こうして、思考は現実になる』(サンマーク出版)という本が巷で売れているらしく、この本を読んでみたいとぼんやり思っていました。本気で思っていたわけではないので、この本を買うために敢えて本屋に行くことはありませんでした。先日、友人と書店で待ち合わせをしました。入口の近くにこの本が積み上がっていました。この本を買いなさいということなのかと思い、購入しました。いわゆる「引き寄せの法則」の関連本でした。引き寄せの法則をちょっとした実験を通して信じてもらおうという内容でした。

 

この本は、人間は見たいものしか見ていないということを強調しています。
脳がフィルターをかけているからです。見ていないものはこの世に存在していないも同然だとこの本は言います。不幸ばかり見ていたら幸福が見えません。これを証明するためにこの本はちょっとした実験を提示しています。

今から24時間以内に黄色い車と黄色い蝶をみつけなさいと言うのです。私は車にまったく興味がないので、黄色い車をみつけることがむずかしいのかどうかまったくわかりませんでした。外に出るとすぐに道路工事用の黄色い車両がみつかりました。それから10秒後には黄色いタクシーが通っていきました。電柱には真っ黄色のクレーン車の絵が貼ってありました。いままで全く目に入っていませんでした。

次は黄色い蝶をみつけなければなりません。3月上旬にホンモノの黄色い蝶を見つけることは困難でしょう。道を歩きながらきょろきょろお店の看板や電柱をみましたが、黄色い蝶はみつかりません。テレビにも蝶は出てきませんでした。
翌日、私が主宰するアーユルヴェーダスクールに行ったとき私は思いました。「黄色い蝶」にこだわりすぎているのではないか、だから見えないのではないか、もっと脳を柔軟にしなければならないのではないかと。
当校に「TRINITY」2013年夏号が置いてありました。ぱらぱらページをめくっても蝶はみつかりません。だめかなと思った時、黄色の円のなかに「大腸」と書かれた写真がみつかりました。これだ! もっと脳をしなやかに! さらにページをめくると紫の蝶の絵が出てきました。近いぞ! ふとTRINITY誌から近くに置いてあるラックに目線を移しました。そこに入れてあったチラシに黄色い蝶の絵があったのです。やったー!

買った本が「黄色い蝶をみつけなさい」と言ったので、私の脳は「黄色い蝶」しかみつけようとしませんでした。それに気がつき、思考と脳を柔軟にしようと努めました。すると「黄色い腸」がみつかったのです。思考が俄然柔らかくなりました。その結果、紫の蝶がみつかりました。そしてターゲットの黄色い蝶が現れたのです。

私たちの思考は固定観念で凝り固まっています。なにか困難なことに挑戦しなければならないとき、たいていの人は「それはむずかしい」から思考を始めます。私もこの思考パターンに陥ることがあります。
「アーユルヴェーダを日本に根付かせることはむずかしい」と何度思ったことでしょう。「むずかしい」というネガティブな思考からスタートすれば、脳はむずかしいモードに陥ってしまいます。いつまでたっても黄色い蝶をみつけることはできません。少し回り道だけれど、思考と脳をしなやかにして黄色い腸をみつけ、紫の蝶を見つけたら、最終的に黄色い蝶がみつかるのです。

大切なのは思考と脳をポジティブモードにして自分がすべきことをすること。結果は大宇宙がもたらしてくれるのです。