片思いでも好きな人だけ見つめて、嫌いな人は閉め出しちゃった方が楽だ……という考えは断絶を生み出していました。
「私は嫌われてもいいし、悪人と呼ばれても構わない。」
そんな覚悟を私自身、心のどこかで「かっこいい」と思っていたことは否定しません。
私一人がそう思う分には私の勝手でしょう。しかし私は無意識に自分と同じ覚悟を他者にも強いていたのです。
嫌われてもいい、悪人と呼ばれても構わない、同じ覚悟を持った人と巡り合う期待。しかし期待をした時点で絶望を引き寄せるのならば、そんな期待をするだけ損。つまり……
「誰とも付き合わない方がマシ。」
引きこもる前の私は、起伏の激しい感情を誰かに受け入れて欲しくてたまりませんでした。しかし自分でもコントロールできないものを、誰がそう簡単に受け入れてくれるでしょうか?
誰かに受け入れて欲しいという大きな期待。しかし思い通りにはならないことから生まれた絶望感。そんな絶望に耐えられず、すべての期待を捨て、心の奥へと引きこもった自分……。
しかし当時は私自身も、そして周囲もまだ若くいろんな意味で未熟でした。
それぞれが自分のことで精一杯だったのです。
今ならわかります、あのとき誰も悪くはなかったのだと。
ただ人は人と関われば関わるほど利己であってはいけないと考え始めます。つまり人との関わりが個人のなかの利己を減らしていくのです。
私はその関わりを早々に手放してしまいました。自分のなかの利己を減らすことなく、しかも他者のなかの利己を許すこともなく……。
「うえーん、どうしたらいいんだよぉ! このままじゃ過去の二の舞だよぉ! 折角、自分が変われたと思っていたのにぃぃぃ!!」
「いやいや、オマエさんは充分変わったって。」
「ホントに? ラファエル……。」
「変わったから過去と比較して『このままじゃいけない』って思えたんだし、変わったから『ラブを始めよう』ってことに気づけたんじゃねぇのか?」
「そう……なのかな……? そう思って……いいの……かな?」
「そうでも思わなきゃ錬金術なんていつまで経ってもできねぇだろうがよ、カッカッカ!」
高笑いするラファエルを見つめとき、私は心のなかで何かの歯車がカチリとはまる音を聞きました。
「そうか、このための錬金術だったんだ!!」
宇宙人と会ったこと、それぞれがそれぞれの宇宙を持っていると気づいたこと、天使と出会ったこと、サイキックな力の意味を理解したこと、そして占星術と出会ったこと。
気づかぬうちに、こんなにもたくさん与えられていたのです。そして無条件に許されていたのです。天使に、そして宇宙に……。
それに応えようと、私は天使や宇宙が与えてくれる情報を他者に渡してきました。それらは誰かにとって有益な情報であったかもしれません。しかし愛情ではなかったのです。
「宇宙の情報を愛情に変えるための……私が私であるための……錬金術?」
ラファエルは相変わらず高笑いしています。ミカエルとガブリエルは悪戯っ子のようにニヤニヤと笑っています。チャミエルさんはゆっくりと頷いています。
受け取った情報を愛情に変換して誰かに注ぐこと。そして誰かからの愛情をこれまで以上に意識し、感謝して受け取ること。
それが私の錬金術。その錬金術こそが……ラブ。
そしてついに2014年12月土星が射手座に移動したことで、私の錬金術は本格的に始まってゆくのです。
さぁもう逃げられない! ラブが始まってゆくよ!!
(いよいよ最終回??! PART.4へ続く)