皆さんは、小さいころ親から何て言われて育てられましたか?
私は主にこの2つでした。
①「カエルの子はカエル。教師になりなさい」
↑うちは両親やその兄弟含めて、90%が教員でした。
②「大学に行かなければ人になれない」
↑私は大学に行かず、高校を卒業したら音楽の専門学校に行きたいと思っていました。
こういった言葉を延々と聴かされると、10代の私にはこんな思い込みが出来上がります。
「大学に行って先生にならなければ、将来がとんでもない事になる!!」
今では本当にナンセンスだと分かるのですが、未熟な私にとったら洗脳レベルの恐怖でした。
皆さんも、似たりよったりの思い込みはありませんか?
一見安定的な道や、大勢が行く道を辿ったほうが、安全で自分に最大の利益をもたらしてくれるように見えます。
それは今自分が持っている「内部情報」と客観的な「外部情報」に大きな隔たりがあるからです。
私達が何か決断を下そうとする時、過去から今までの自分固有の状況に注目したり、自分の経験の中から意思決定のヒントを見つけようとします。
なのでこの情報に偏りがあったり、事実から離れていればいるほど、無駄に将来に恐怖を感じてしまいがちになります。
(参照『ファスト&スロー』早川書房 ダニエル・カーネマン)
私、お正月に月山志津温泉の旅館にステイさせて頂いたのですが、ここの女将の娘さんが稀に見る「将来への恐怖を持たない方」だったんですよ。
チェックアウトした後、山形駅まで1時間くらいの道のりを彼女の運転で送ってもらう事になりました。
私と娘だけだったので最初は他愛のないおしゃべりをしていたのですが、言葉に訛りが全然ないので、東京にいらしたんですか?と聞いてみました。
すると、東京の大学を卒業した後は、カナダ→メキシコと2年近く放浪(ご本人曰く)していて、お金がなくなったのでまた働いて今度は韓国に1年ほど語学留学していたそうです。
「大きな決断をするとき、いかに恐怖を駆逐するか」というのをテーマに掲げている私に取って、これは看過できない人物だ!とそこから質問責めにしてみました。
「ほとんどの人は、大学卒業したら就職するじゃないですか?どうして他の人と違う道を選べるんですか?」
「将来の事を考えて、不安になったりしないんですか?そんなに自由に行きて、怖くないんですか??」
すると明るく笑ってこうおっしゃられました。
「あはは!バカなんですきっと!多分何も考えてないんです。将来の事とか。あとで後悔したくないから、その時に一番したい事を選んでるのかな」
また、彼女の場合育った環境も大きかったようです。
親戚が全員会社をしていたり個人事業主だったり、会社員や公務員がゼロ。全員が自分でビジネスをしています。また親御さんも、「◯◯しないと△△になれないからね!」というような脅し文句は一切使わなかったそうです。
なので彼女の場合、自分の中の「内部情報」にはこんな事が書かれているのかもしれません。
■大学卒業後、仮に就職しなくてもまぁ何とか生きていける
■自分でビジネスをしても、頑張ればきちんと生活していけるだろう
■今までやりたい事をやってすごく楽しかったから、これからもその場その場でやりたい事をしていけば、きっと楽しいに違いない!
このいい意味での能天気さ、楽観主義を尊敬の意味も込めて『バカ利口』と呼ばせて頂きたい!
世の中、頭でっかちに自分の手元にある情報だけを見て、あれこれ理由を並べて行動しない人はたくさんいます。
でも、自分が人生を終えるとき、将来を恐れる余りに何もできなかった人達と
余計な事を考えずに好きな道を選んで生きてきた人達では、どちらがより満足度が大きいのか、という事です。
私はこの数年、色々な物を捨ててきました。その結果、捨てるまでは怖くてしかたなかったものが、捨ててしまえば「なんであんなものにこだわっていたのか」と唖然とするものばかりでした。
バカという言葉はちょっと良くない言葉ですが、あえて言いましょう。
将来が怖くて動けなくなったら『バカ利口』になれ。