中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.25 〜TRINITY編集長、遠藤との対談③ サイキックについて〜

人工知能の話が一段落したところで、話しはサイキックな話題に。意見の違う二人だからこそ出た、実はサイキックもスキルの一つ?という観点。少しハラハラする展開になってきました!

「私、スピリチュアルと宗教とサイキックは違うと思うんですよ」
人工知能の話が一段落したところで、遠藤さんがこう切り出した。

「なるほど。てか、私、スピリチュアルとサイキックの違いもわかんないんですけど(笑)」
「サイキックは物を透視したり人の心を読んだり物を動かしたりする……」
「超能力ですか」
「そうそう」
「でもさ、こないだ対談させていただいた伊藤三巳華さんみたいに霊が視える人っているじゃないですか。あれは超能力に分類されるの? それともスピリチュアル?」
「ああ、ですから私の中では、スピリチュアルという大きな括りの中にサイキックがあるのかな、と」
「ほほう。しかし私はサイキックって……うーん、あんまり信じられないっていう感じがしますねぇ。いや、信じられないっていうか、よくわかんないから保留、みたいな。たとえばスプーン曲げとかね。あれはインチキだって言う人もいるし、本当だって言う人もいるじゃないですか。でも、どっちも証明できないから、結局、真相はわからない。そんな答えの出ない問題を延々と考えても無駄なわけだからさぁ、私だってそんなに暇じゃないんだし(笑)。だから、わかんないものは保留、と。そんな感じかなぁ」
「ええ、わかりますよ」
「たとえば私だって、目の前で物を動かしたりされたら、信じちゃうかもしれないですよ。でもさ、世の中には手品ってものがあるじゃない。すごいじゃないですか、あの人たちって。何もない所からいきなりカード出したりしてさ。まるで魔法を見せられてる気分になるけど、でもあれ、手品じゃん。種も仕掛けもあるわけだよね。だから安心して見てられるけど、あの人たちがサイキックですって名乗ったら、私、信じちゃうかもしれない。私の懐疑心なんて、所詮その程度のものですよ。あの人たちが手品師って言ってくれて本当に良かったよ。でないと、私の世界観が揺らいじゃうもん(笑)」

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私は自分の世界観が揺らぐのを嫌う。だから頑強にスピリチュアルを否定したがる。

たぶん、それは不安だからなのだ。
自分の世界観がいかに脆弱であるかを知っているから。
絶大な自信を持って否定しているのではない。
不安だからこその全否定なのである。

「そういえば、新子景視さんという人がいて、ブレインダイブというマジックをやるんです」
「ブレインダイブ??? 脳に飛び込むの?」
「はい(笑)。たとえば、お客さんのひとりに初キスの相手の名前を思い浮かべてって言って、そしたらその名前がすごく難しい名前だったんだけど、ぴたりと言い当てたんですよ。なんでわかるのってビックリして、ご本人に訊いてみたら種も仕掛けもありますよ、と。物事にはすべて種も仕掛けもあります。ただ超プロフェッショナルにしか起こせない現象もあるんです、と」
「ほう、それは面白い! じゃあ、それはスキルの問題ってこと? それとも能力の問題ってこと?」
「どっちなんでしょう。うさぎさん、コールドリーディングってご存知ですか?」
「知らない。何それ?」
「相手の顔色や仕草から相手の考えてる事を読み取る能力です」
「つまりそれは、勘だよね。こないだも話に出た刑事の勘、みたいな」
「ですね。そして、その勘というのがスピリチュアルでは?と、私は思うんです」
「そうかもしれないけど、もしそれが特殊な能力じゃなくて単なるスキルの問題だとしたら、つまり誰もがそのスキルを磨けばある程度できることだとしたら、それはもう超能力者じゃないじゃん。職人じゃん!」
「結局、サイキックっていうのは、たとえば歌が上手いとか足が速いとか、そういう能力と同じなんじゃないかと思うんです。元々、普通の人より勘が鋭い。そういう人がスキルを磨いてその能力をより伸ばしていったら、それがサイキックなんじゃないか、と」
「なるほど。元々の才能+スキル=サイキックか」
「ええ。だから、これからもっともっと脳の仕組みが解明されたら、サイキックっていうのはこんな風な仕組みだったんだとわかっていくんじゃないかと期待してるんです。サイキックって何も特別な能力じゃなくて、普通の人も持ってる第六感とか人の顔色を読む能力とかが特化されたものじゃないかと」

ああ、そういう説明なら、超自然現象を信じない私にも、サイキックの存在がリアルに感じられる。

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遠藤さんのスピリチュアル観は、じつは私の現実主義の対極にあるのではなく(私はそう思ってたけど)、少し位相をずらしただけの同じ地平にあるのだ、と、感じた。

どんどん面白くなっていく遠藤さんとの対談、次回も続きます!

 

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