「古くて新しいお灸の秘密」~古来のものから最新のものまで~

何千年も前から存在しながら、今なお進化し続けているお灸。しっかりと活用し、今年の年末年始は健康で美しく乗り切りましょう。

「お灸」といえば、古くさい治療法というイメージがあります。
「お灸を据える」という言葉があるように、一昔前には、悪さをした子供をしつけるために、お灸が持ち出されていました。こうしたことから、治療法であるにもかかわらず、「ちょっと辛いもの」というイメージも強いかもしれません。

 

【古代人は石や草で身体を癒していた】

そもそも、お灸はいつ頃から存在していたのでしょうか?
お灸は鍼と共に「鍼灸」という形でまとめて表現されることが多いのですが、元々は「石や草を使っていたもの」がベースとなって成立したのではないかといわれています。薬などが存在しない時代に、細い石を使って、膿などを排出したり、草を焼いたものを身体に載せることで薬効を強化したりという、生活の中で試行錯誤を重ねた経験値から生まれたものだったのです。
それだけに、始まった時代を特定することは難しいのですが、鍼灸について書かれた最も古い文献が「紀元前1200年頃のもの」ということを考えると、少なくとも「3000年以上の歴史をもっている」ことは確実です。
日本には「西暦552年に伝来」し、それから1000年以上にわたって、人々を癒し続けているのです。

 

【熱を補給することで健康をもたらす】

お灸の根本原理は、「人間は熱によって動作している」というもの。
人間は赤ちゃんの頃は熱、すなわち「エネルギーの塊」であり、それがなくなることで、老いて動きがとれなくなり、最終的には死へと向かっていくので、それを防ぐために「熱」を補充する必要があると考えられていました。
その熱を出すためには、「強い生命力を持つもの」が必要であるとして、「よもぎ」が選ばれました。よもぎは、「砂漠などにも生育できるほど生命力の強い草」であり、比較的どこでも手に入るので、これをに熱を加えたものを身体に置くことで、「強いエネルギーが吸収できる」としたのです。

そんなエネルギーを補給するという手法と、東洋医学で重要な概念である「経絡」と「ツボ」が組み合わさった結果、単にエネルギーを補給するだけでなく、体内でエネルギーの弱くなった場所に「ピンポイントで補給する」ことが可能になりました。
ツボというと、スピリチュアルなものといったイメージがあるかもしれませんが、実際には「世界保健機関(WHO)」にも公認されており、西洋医学の世界でもある程度認められているものです。

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【やっぱり熱いのは現代には不向き】

お灸は海外では「MOXA」と呼ばれていることからもわかるように、よもぎをベースにした「もぐさ」を熱するのが基本です。
しかしながら、旧来の方法だと、前述したように「火傷をするぐらいの熱さを感じる」こともありました。そこで、お灸のブランドとして有名な「せんねん灸」は、そういった旧来の熱さをなくすために、弘法大師空海の「灸は身をやくものにあらず 心に灯りをともすものなり」という言葉をもとに、熱さがそれほどでもない「せんねん灸」を開発したのです。
そんなせんねん灸が生まれたのが「1970年」、しかしながら、お灸の進化はまだ止まっていません、時代にあわせて、どんどん進んでいるのです。