大衍筮法による易占、4096の卦から得られる、先哲の英知。
取り入れてみると、ちょっと素敵な一週間になるかも?
易者MIKAKU(未畫齋)がお伝えします。
恋の始まり
今週は、「咸之謙」(咸、謙へゆく)の卦から得られる指針をご紹介します。
「咸」(かん)の卦の中に「謙」の卦が包み込まれている、と解釈しても良いのですが……。
今回は、「咸」が「謙」へと変化する、という解釈をご紹介いたします。
変化前の運気、現在の運気を示す「咸」ですが、これは「感」とほぼ同じ意味です。心のふれあい、「感応」の意味と、身体的・感覚的なふれあいと、両方を意味します。
また、「咸」には、「みな」・「ことごとく」という訓読みもあります。まさに、全人格的・全身体的な感覚によるふれあいを意味するものと言えます。
さらに「咸」は、衰運から盛運へと向かう「運勢の動き出し」という性格を持っています。
極めつけは、「咸」に付された「彖伝」(占いの言葉・その解説)です。「男がへりくだって変わらぬ愛を誓い、女がよろこんで受け入れる。」という一節(意訳)があるのです。
こうしたイメージを重ね合わせると……
「咸」はまさに、「恋の始まり」を象徴する運気と言うことができるのです。
「謙譲」は、自分を不当におとしめることではありません
「恋の始まり」である「咸」。これが「謙」へと変化していくというのが、「咸、謙へゆく」の卦です。
変化後の運気、将来の運気を示す「謙」は、まさに「謙譲の気持ち」を象徴します。
「自分が自分が」という我を張りすぎず、相手のことを思いやりましょう、という心構えを示す卦ですね。
ただ、気をつけていただきたいことがあります。「謙」・「謙譲の気持ち」とは、決して「自分を不当におとしめる」ことではありません。「自分を引き下げて、相対的に相手を持ち上げる」やり方では、「謙」ではなくて「卑下」になってしまいます。
相手を尊重するその前提として、自分も尊重する。自分にとって大事なこと・譲れないことなどを固く守るからこそ、相手の大事なものへの配慮もできる。それが「謙」です。
以上より、今回の卦である「咸、謙へゆく」からは、以下のような指針が得られます。
心がうずき、体がふるえる恋の始まり。やがてふたりの間にふれあいが生ずるわけですが……。
自分の都合や要求ばかりを押し付けるようでは、本気で相手を思っているとは言えません。
かといって、自分を不当におとしめ、相手を増長させてしまってもいけません。自分を不幸にしてしまうのはもちろん、相手の「人としての、本来のありよう」をゆがめてしまうことにもなります(注)。
どうかご自分を大切にしてください。自分を尊重できるからこそ、相手の気持ちを知り、思いやることもできるのです。それがおとなの恋愛ではないでしょうか。
と、こんな視点はいかがでしょう?
(注):本来は優しいステキな人だったのに、女性が甘やかしたせいで、傲慢で乱暴な男性になってしまうこと、ありますよね。その状況をひと言で説明してくれるspoilという英単語、便利だと思います。
しなやかな感性が道を拓くかもしれません
個別の問題について、指針を提案いたします。
参考になるところがありましたならば、幸いに存じます。
金運:動き出したばかり・弱含みの時に、感覚任せで突撃するのは、なかなか危険ではないでしょうか?
仕事運:やわらかな感性から、相手と自分の双方を立てる方策が生まれるかも。
就職・転職:フィーリングや人の縁といった感覚も、捨てたものではありません。
恋愛・結婚:感情のままに突っ走るだけではなくて、相手への配慮も忘れないようにしたいものです。
家庭:いきなり怒る前に、相手の言い分を聞いてみることも必要かも。
学問・芸術・趣味:たまには感性の赴くままに楽しんでみてはいかがでしょう?
前回の記事はコチラ:
こんな視点はいかがでしょう? MIKAKUの易占アドバイス(9月第2週)