大衍筮法による易占、4096の卦から得られる、先哲の英知。
取り入れてみると、ちょっと素敵な一週間になるかも?
易者MIKAKU(未畫齋)がお伝えします。
理屈と感性
易は、筮竹を捌いて得られる、「卦」を解釈するという占術です。
例として、「節」の卦を以下に掲げます。
六本の横棒で成り立つ図。これが、「卦」です。
上の三本が「坎(水)」、下の三本が「兌(沢)」をあらわしているので、「水沢節」と呼ばれます。
この「節」の卦が得られたとしまして。
「節」の持つ多様なイメージ(竹の節、節目、節度、大河の下に湖沼がある、伸び悩み、やや苦しい……などなど)から、何を導き出すか。ご相談内容を考え合わせて、どう解釈するか。
それが、易者がなすべき「仕事」であります。
と、だいぶ理屈っぽいところもあるわけですが。
「感じた通りのインスピレーション」、「見たままのイメージ」も、大切だと言われています。
六本の爻(「こう」、横棒のこと)から成り立っている、卦。
これが、「何かに見えてくるなあ」という感性は、古代中国でも、日本の江戸時代でも、非常に重視されてきました。
人体に見立てる ~虞翻が関羽を占った~
ポピュラーな発想が、「卦を、人体に見立てる」というものです。
六本の横棒を、下から「足~脚、腰、胸、頸、頭」にあてはめる、という考え方です。
有名な事例が、私達日本人が一番知っている中国(?)である、『三国志』にも載っています。
三国時代(正確には後漢時代でしょうか)、虞翻(ぐ・ほん)という人物がいました。
大学者にして大豪族。誰にも遠慮しなかったとか。だから暴君ぎみの王様(孫権)とも真正面から喧嘩していた、おもしろおじさん。
易の学者として有名な人ですが、占いの腕も素晴らしかったそうです。
その虞翻のエピソードから。
呂蒙が関羽に計略をしかけるのに成功したと聞いて、
孫権は虞翻に占いを立てさせたそうです。
関羽(かん・う)は、ご存知の方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
中国人あるところ、必ず関帝廟あり。長いおヒゲの強面おじさんです。
で、その関羽を占った虞翻。
こう言いました。
「『節が臨にゆく』と出ました。関羽の首は二日以内に断たれるでしょう。」
その通りになったそうです。(『三国志』呉書第十二 より)
「節が臨にゆく」とは、
という卦が出た、ということです。
下から五本目が、実線から破線に変化しています。
それを見て、虞翻は、「首が陽から陰になる、つまり首をはねられるということだ」、と判断したわけです。
これが、「六本の線を人体に見立てる」という解釈法です。