アロマセラピーは、精油を使って心身にアプローチする自然療法。
植物から抽出された精油の香りは、一瞬にしてわたしたちの気分を変えてくれます。
気分緩和のほか、認知機能や嚥下機能の向上など、実証的研究が進められています。

一方、コラージュ療法は、自己表出や自己表現、ラポール形成などの効果を期待して心理の現場で用いられている心理療法です。
ボディワークのひとつ、瞑想は、痛みの緩和やストレス低減といった健康への効果でクローズアップされるようになってきました。

アロマセラピー、心理療法、瞑想——異なる方向から心身に働きかけるこれら3つを融合したのがアロマコラージュ療法®です。

瞑想後、直感と感覚のままにフレグランスとコラージュを創作

アロマコラージュ療法®は呼吸法・瞑想に始まります。
瞑想後、直感と感覚のままに好きな精油を用いてフレグランスを作ります。
そしてその香りをもとにコラージュを創作します。
作品完成後、アロマコラージュ療法®ならではの「作品と向き合うためのワーク」、受容的な雰囲気のなかで行われるシェアリングで気づきを深めていきます。

直感から生まれたアロマコラージュ療法®

アロマコラージュ療法®は、2009年7月15日、アロマセラピストでもある心理学者によって生み出されました。
きっかけは、「子育て中のお母さまたちにアロマで癒しの時間を」と依頼された宇都宮市の市民講座でした。
参加者同士ハンドトリートメントを行い、最後にハーブティーで交流という講座計画を立てました。
ところが参加者募集の段階で定員が20名から40名に増枠されました。

大人数でのハンドトリートメントは無理なので計画変更を余儀なくされました。
グループに分かれてアロマクラフト作りを行うことにし、作業のしやすさ、材料の準備などからフレグランス作りに決めました。
余った時間で何をしようか考えているとき、ふと、コラージュが浮かんだのです。

「癒しの時間」という講座の趣旨を受け、講座の冒頭、呼吸法・瞑想を導入しました。
リラックスした後、グループごとにフレグランスを作り、その香りを模造紙にコラージュで表現。
作品完成後、ホワイトボードに各グループのコラージュをずらりと掲示し、代表者に発表していただきました。

フレグランスにも、コラージュにも、グループの個性が際立っていました。
何より制作中の楽しそうな様子。どのグループも和気あいあいと作業を進めていました。

大学で効果を検証する研究に着手

しばらく経ち、あの講座には心理学的効果があるのでは？ と気になりはじめました。
一連の手続きを「アロマコラージュ療法」と名づけ、2009年12月17日、大学生を対象に、個人でフレグランスとコラージュを制作する個人制作方式で実施し、前後に調査を行いました。
結果は予想以上でした。

アロマコラージュ療法後に緊張－不安、抑うつー落ち込み、怒りー敵意、疲労、混乱が有意に低減し、逆に活気は有意に高まっていました。
身体感覚についても興味深い結果が得られました。
手応えを得、本格的な検証に着手し、学会や論文で発表を行ってきました。

アロマコラージュ療法®による不登校支援

2010年、アロマコラージュ療法®によるボランティア活動を開始。
大学生と一緒に適応指導教室を訪問し、不登校の小中学生への支援を始めました。
今では保健室登校、ひきこもり、障がい児、保護者、教師、被災者などへと対象が広がっています。
カルチャースクールや行政の講座、イベントなどで一般向けのワークショップも開催しています。

開発から7年。調査、ボランティア、一般向け講座で行ったセッションは200回以上、体験者は2000人をゆうに超えました。
「わくわくする」「すっきりした」「自分が何を望んでいるかわかった」「香水やコラージュに癒される」「前向きになれた」等々の声をいただいてきました。

アロマコラージュ療法®は自己治癒の世界

アロマコラージュ療法®の最大の特徴は自分で作って自分で癒える、自己治癒の世界であることです。
嗅覚は、情動や記憶を司る脳の古い部分、大脳辺縁系に直接伝わります。

瞑想後、嗅覚という根源的な部分から湧き起るイメージを「カタチ」にしたフレグランスとコラージュは、さながら自分自身からのメッセージです。
アロマコラージュ療法®では、メッセージの受け手＝作品の作り手の自己治癒力を信じます。
アロマコラージュセラピストが作品の解釈を行わず、作り手の語りに耳を傾け、フレグランスやコラージュの作品世界を味わうのはこのためです。

特定非営利活動法人国際アロマコラージュ療法協会
http://www.aromacollage.com/