商売繁盛・縁結び・子宝へ大転身
ところが、江戸時代になると、これらの恐ろしい側面は忘れさられ、庶民の味方、商売繁盛の神様になっていきます。確かに、平和な世の中で、戦勝祈願だ、呪殺だといっても、だれも見向きもしません。
この神様に限らず、商売繁盛・とか、縁結び、子宝などの、一般庶民が喜びそうな後利益を、神社仏閣がうたうようになったのは、江戸時代からです。天下泰平の世で、神様たちも大衆向けバージョンに鞍替えしたのです。
呪殺できるほどのパワーの持ち主ですから、商売繁盛の分野でもパワフルだったのか、江戸庶民にも大変な人気でもてはやされます。
そのうちに、神様の明るい側面だけがもてはやされ、負の側面が忘れ去られていきます。人は、「自分がみたいものだけを見て、見たくないものは見えない」傾向があります。つまり「願いが叶う」という自分にとっておいしい側面だけが見えて、「代償を支払わなければならない」という見たくない側面は見えない、または見ようとしない傾向があるのです。
黒執事セバスチャンは、日本では神様
漫画、黒執事にでてくる執事セバスチャンは、主人公シエルと契約を交わした悪魔です。彼は、本当に頼りになる存在で、シエルはセバスチャンの力を使って、数々の難問を魔法のように解決していきます。なぜ、セバスチャンはここまでシエルのために尽くすのでしょうか?「死後シエルの魂を、セバスチャンが食べる契約」が交わされているかです。
まるで、さっきの死肉が好物の神様みたいですね。そうです、日本だと、間違いなく執事セバスチャンは、悪魔ではなく神様になります。
西洋の価値観では、善は善、悪は悪とはっきりと区別されるので、神と悪魔はまったく別の存在ですが、キリスト教以前の古代社会や、東洋では、本来そういう価値観はありません。
日本やインドなどの多神教の神様は、神様的側面と悪魔的側面を一人に神様の中に併せ持っています。神様の天使的側面と堕天使的側面、和魂と荒魂といってもいいかもしれません。
ところが、今の日本では、西洋的な価値観と日本的な価値観がごちゃまぜになってしまい、「神様=無条件で人を救ってくれる良いもの」という、間違った観念が横行しています。
多神教の神様は悪でもあり、善でもあり、人間同様複雑です。また、多神教ですから、神様一人一人、ずいぶん性格も違います。
神様の性格は一柱ずつ個性がある
「いったい、どの神様にお願いするとやばいのですか?」そんなストレートな質問が来ました……それはちょっと言いかねます……。ここではたまたま、密教の天部がでてきましたが、天部だからやばいというわけではありません。誤解のないように申し上げておきますね。
願い事をすると、シビアな見返りを必要な神様はほかにも沢山あります。おっと、このエッセイを書いていると、突然、漫画の宣伝がスマホに現れました。引き寄せの法則でしょうか?(笑)
なんでも願いを叶えてくれる福の神「ゴールデンゴールド」
途中まで無料配信だったので、読んでみたところ……
「ゴールデンゴールド」という福の神が主人公の漫画でした。結構有名な漫画だそうで……「なんでも願いを叶えてくれる神様」がでてきて、島の人々が、この神様のおかげで、どんどん裕福になっていく話です。思い当たる節があります……ここにでてくる神さまは、天部ではなく、外国(西洋)からやってきて、今は日本でも定着した神様です。
モデルになった神様については、またの機会に、お話しさせていただきますね。
それから、戦国ついでに、信長と第六天の魔王についても、折を見てお話いたしましょう。
マユリ
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