Pick up in 高野山! 弘法大師・空海のお膝元で私も魂の修行へいざ!

TRINITY33号より〜2004年に登録された世界遺産「高野山」。この地でなお空海は生きていて、人々のために祈りを捧げてくれている。

今も生きる“世界遺産”に大我思いの強さを感じる

高野山は寒い。
まさに下界とは雲泥の差。気温もだけれど、温度を省いた“気”もまたそう。弘法大師・空海がこの地に修行の場を開いたその訳を、頭ではなく身体の感覚が何となく理解する。
ピリッと引き締まるような空気に、癒される期待というよりも、覚悟を決めて高野山へと足を踏み入れた。
2004年に世界遺産に登録された高野山。でもここは「遺産」ではなく、今なおこの地で空海は生きていて、人々のために祈りを捧げてくれているという“生きた”場所だ。

空海の教えは“生きとし、生けるものが今を幸せに生きること”。そして、「そのすべてが解脱し仏になった時、私の願いが終わる」とされている。“大我以上の大我”を持つ空海の息吹に包まれたこの地では、日々、私利私欲に翻弄されている自分と向き合わざるを得ない。しかし、空海の深い愛は、人を“今”で差別しない。ここで得た気づきを人生に活かす。それを、空海は何より望んでいるのではないかと感じた。

空海自身、この地で瞑想にふける時間を何よりも大切にしていたという。
見習って、家でも瞑想してみたけどダメだった。まだまだ空海の願いに達する日は遠そうだ。

 

「奥の院」~一歩一歩を心に刻んで空海の想いに寄り添う~

“MY人生、1人静かに歩きたいと感じる場所No.1”。
一の橋から空海の御廟へと向かう2Kmの道のり1歩1歩が、浄化であり、瞑想のようで、空海に出会うための準備をしていく。
邪念のある自分が踏み入れていいのか? ご心配なく。勝手に抜けていきますから。

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鬱蒼と茂る森を歩くごとに、穢れが払い落されていく

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今も空海が住まう霊域の境目となる御廟橋(ごびょうばし)。足を踏み入れられることに喜びを感じる。

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数あるお地蔵さんのなかでも、群を抜いてかわいらしい”なかよし”地蔵。

 

「檀上伽藍(だんじょうがらん)/金剛峯寺(こんごうぶじ)
~多くの人が修行を重ねた空海の教えそのもの~

そもそも空海が高野山を開いたのは、真言密教の道場として。その中心がここだ。金堂を中心に大小さまざまなお堂が建てられ、神仏習合の時代を象徴するように神社も。
曼荼羅を始め、真言密教色が色濃く残されていて、空海の悟りに対する“厳しく真摯な想い”が伝わってくる。

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梵字「ア」の音を使う「阿字観瞑想」自分が宇宙と一体になるような体験。

TRINITY33号より
Photo:Yuko Nagaoka