大人気の仏様のお経は長いものから、短いものまで多種多様

「いつでもどこでも誰でも唱えられる」ことで、人気となったお経があります。それは「十句観音経」。別名「延命十句観音経」と呼ばれるこのお経は、なんとたった「42文字」で構成されています。

【人気No1の仏様】

日本には多くのお寺があり、さまざまな仏様が祀られていますが、その中でも特に人気がある存在というのが「観音様」。この表記は通称ですが、観音様には「観自在菩薩」「観世音菩薩」「救世菩薩」といったさまざまな別名があるために、今回は一般的に使われている観音様という表記で統一したいと思います。

この仏様の特徴は、名前と同じように状況にあわせて「様々な姿で現れるところ」。無数の手をもっていることで有名な「千手観音」をはじめとして、無数の「化身=姿」をもっているのです。そのために、日本だけでなく仏教が伝わっている多くの国で親しまれています。チベット仏教では特に重視されており、最高位である「ダライ・ラマ」は観音様の化身とされているのです。

 

【観音様はお経の世界でも人気者】

それだけ、世界各地で人気を集めているために、当然ながら、さまざまなお経にもその名前が登場してきます。最もポピュラーなお経ともいえる「般若心経」の冒頭にも登場しますが、そのものずばり、「観音経」と呼ばれるお経もあります。

こちらは、正式名称は「観世音菩薩普門品」と呼ばれており、「法華経」というお経の中のひとつとなります。観音様がもつ、「すべての人を救う」という功徳をあらわしたとされているこのお経は、多くの奇跡をあらわしてきたとされて、人気を集めています。

 

【観音経は救いをもたらす】

それだけに、さまざまな現代語訳がなされていますが、その中に、4年ほど前に「とてもわかりやすい」ということで話題となった「超訳! 観音経」というものがあります。こちらは、長野県にある「長谷寺」の住職さんが非常にわかりやすく日本語訳してくれたものとなっています。

超訳!観音経 声に出して読もう!
住職日記より

こちらを読むと、奇跡を起こすということから想像するような「呪文的な感じ」はないものの、非常にいいことを語っており、まさに「人の心を癒やす内容」だということがわかります。それだけに、これだけの長い年月好まれてきたということなのでしょう。ちなみに、般若心経は「悟りのお経」、観音経は「救いのお経」とする説もありますが、まさにぴったりくる例えです。

 

【42文字の観音経】

しかし、観音様の力をあらわすというお経はこれだけに、とどまりません。観音経はちょっと長いのですが、もっと短くて、「いつでもどこでも誰でも唱えられる」ことで、人気となったお経があります。それは「十句観音経」。別名「延命十句観音経」と呼ばれるこのお経は、なんとたった「42文字」で構成されています。

釈迦の時代から1000年以上たってから成立したという、いわゆる「偽経」ではあるのですが、その「功徳が高い」ことから、現在に至るまで多くの人たちから信仰を集めています。一説によると、日本で成立したのではないかともいわれており、観音様の信仰を広めるために強い影響を与えたのだそうです。

それでは、非常に短いこのお経を紹介しましょう。

観世音 南無仏 与仏有因 与仏有縁
仏法僧縁 常楽我浄 朝念観世音 暮念観世音
念念従心起 念念不離心

この内容を簡単に現代語に訳すると、「すべてを観音様にまかせます。そうして、一心に自分の心にある仏の願いによってこのお経を唱えることで、観音様の四徳が得られますように…」といったようになります。

 

【さらに短い観音様の力を凝縮したお経】

これだけでも、かなり短いものですが、さらに、もっと短い観音様に関するお経というものもあります。それは、「オーム・マニパドメ・フーム」という真言。こちらは、スピリチュアルな世界でも聞いたことがあるという方もいるかもしれません。

こちらは、「観世音菩薩の真言を梵字であらわしたもの」であり、この真言自体が「六字観音」として信仰されるほど特別なものとされています。これを唱えるだけで、観音様からの御利益が得られるということですので、まさにもっとも短いお経といえるでしょう。

皆さんは、どのお経が一番しっくりくるでしょうか? 私たちをその「広大な慈悲で常に見守ってくれているという観音様」。気に入ったものがあったならば、声に出して唱えてみることをオススメします。

Various Kannon spells.
Various forces of Kannon.