なぜアーユルヴェーダはヒーリングシステムと言われ、治療システムと言われないのか?

アーユルヴェーダは、自己の内部から病気を癒し、細胞を若返らせ、エネルギーを高め、体、心、感覚器官、魂が一体のものとして調和することをめざすヒーリングシステムです。

そのためにアーユルヴェーダには3つのアプローチがあります。

● Yuktivyapashraya(ユクティヴィアパシュラヤ)
● Sattvavajaya(サットヴァヴァジャヤ)
● Daivavyapashraya(ダイヴァヴィアパシュラヤ)

 

Yuktivyapashraya(ユクティヴィアパシュラヤ)

私たちがアーユルヴェーダの治療としてイメージするのはユクティヴィアパシュラヤです。
一般には体の病気に用いられます。
生薬の処方とか食養生、オイルマッサージはユクティヴィアパシュラヤです。
外部からの施しによる治療です。

現代医療の治療の概念と似ています。
似ていますが、まったく同じではありません。
アーユルヴェーダの治療は、症状が体に現れている場合であっても、必ず心の状態も見て根本原因を探り、体の細胞と心の若返り(再生)を図ります。

 

Sattvavajaya(サットヴァヴァジャヤ)

サットヴァヴァジャヤは心をコントロールするための取り組みです。
心のサットヴァの質を高め、自己認識を高めることによって欲望からの解放を目指す方法です。
アーユルヴェーダは心身医療的な性質をもっており、ウィルスや細菌による感染症は別にしても、体の病気の背景には心の動きが関与していると考えます。
そのためアーユルヴェーダ医師は必ず患者の心を分析します。

サットヴァヴァジャヤは、アーユルヴェーダの原理に基づく、心の機能を改善するための方法であり、援助、ガイダンス、カウンセリングなどを伴います。
サットヴァヴァジャヤという用語は「チャラカ・サンヒター」に出てきており、チャラカはアーユルヴェーダの歴史において原因病理論における心理的要素の役割を初めて論じた医師と言われています。

現代医療は体と心を切り離して考えます。
また、病気の根本原因をみつけることにはあまり重きを置いていません。
そのため現代医療では、多くの病気は「原因がわからない」とされています。
あるいは、原因不明の体調不良が続くと「うつ」という病名をつけるケースもあります。

アーユルヴェーダは「うつ」というレッテルを貼るのではなく、心のエネルギーの回復とラサーヤナ(若返り)を図る取り組みを行います。
そのためにヨガやプラーナヤーマを行ったり、瞑想をしたり、サトヴィックな食事に変えたり、サトヴィックな音楽を聴いたり、スピリチュアルな本を読んだりします。

 

Daivavyapashraya(ダイヴァヴィアパシュラヤ)

体の病気でも心の病気でもない、原因が判明しない病気の場合、宗教的な取り組みも行われます。
たとえば、マントラを唱える、薬草や宝石のスピリチュアルな使用、幸運を呼ぶ儀式、奉納、断食、聖地巡礼、護摩、苦行、プージャ(儀式)などが行われます。
私たちもお正月や特別なイベントのときに神社仏閣に行くと心が洗われる気持ちがします。

私は最近、関東厄除け三大寺院の一つである川崎大師に行きました。
読経の響きと太鼓の音に心が落ち着く一方、魂(意識)が覚醒するような感覚になりました。
心と細胞が蘇る感じがしました。
同じ病気にかかっても、祈りを唱えるグループのほうが、唱えないグループより治りが早いという調査結果があります。
これがダイヴァヴィアパシュラヤです。

アーユルヴェーダは、自己の内部から病気を癒し、細胞を若返らせ、エネルギーを高め、体、心、感覚器官、魂が一体のものとして調和することをめざすヒーリングシステムです。
体と心と魂がばらばらになっている現代人に必要とされる健康システムです。

■ドクター・パルタップ・チョハン☆アーユルヴェーダセミナーとコンサルテーション
インドの著名アーユルヴェーダ臨床医ドクター・パルタップ・チョハンの来日セミナーおよび個人コンサルテーションが行われます。
http://www.jivajapan.jp/seminar/partap201704.html

 

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