儀式のあとには、なにかを食べる。インドと日本の不思議な共通点

食事をするときには、栄養補給や娯楽という観点だけでなく、よりスピリチュアルで高次なものとして取り組んでみることをオススメします。きっと、新しい発見があるはずです。

【多くの人を魅了するインド】

インドといえば、スピリチュアリティに溢れた国であり、その魅力に囚われている方も多いことでしょう。日本と同じように「多神教」が一般的であるインドは、仏教の開祖である釈迦が産まれた場所でもあり、そのために、日本人にとってなじみ深い仏様の源流となった神様も多く存在しています。

 

【インドの神様は甘いお菓子が好き】

そんなインドの宗教である「ヒンドゥー教」には、様々なお祭りがありますが、そのようなお祭りやお祝いの時につきものなのが「ミターイ」。こちらは、簡単にいってしまうと「甘いお菓子」のことです。ミターイといっても、単一のお菓子ではなく、いくつかの定番の甘いお菓子の総称となっています。

そんなミターイの中で、特に有名なものとして「モーダカ」があります。こちらは米粉や小麦粉を練った生地を宝珠型に成形したもので、中には餡が入っています。油で揚げたり、蒸したりすることで完成するこのお菓子は、ヒンドゥー教の神様である「ガネーシャ神」の好物とされています。どれだけ好物なのかというと、ガネーシャ神の別名として「モーダカプリヤ=モーダカを好む者」があるほど。当然、ガネーシャ神のお祭りにもつきものであり、21個もモーダカを供えて、儀式後には「プラサド」として、参加者に配られます。

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(画像はウィキペディアより)

 

【神様からのお下がりで、その力を取り込む】

プラサドは、日本語に直すと「聖餐(せいさん)」と訳されることが多いものです。「神様に捧げたお菓子全般」であり、インドのスピリチュアルな考えでは「神様に捧げられたお菓子は、私たちの身体だけでなく、魂を満たしてくれる」ものとされています。

ちなみに、このような思想は日本にもあります。神道では「直会(なおらい)」という行為があります。こちらは、お祭りが終わったあとに、「神前に供えたお酒や供物を参列者で消費する」ことです。インドではお菓子ですが、日本では神饌の基本となるのは「お酒」。お米という日本人にとって重要な穀物から作り出されたものであり、神様がお酒を好むこと、また、神道の神饌は調理されたものがほとんどないことから、その場ですぐに摂取することができるものとして、「お酒が重宝された」のです。

インドと同じように神様に捧げたものを食べることで、その力を取り込むという意味合いもありますが、儀式のあとに神様と一緒に飲食することで、「神人合一を体感する」という説や、食事をすることで、「儀式という非日常から日常に戻る」という説もあります。日本はインドから影響を多く受けましたが、プラサドと神饌というのは、多神教という同じ概念の宗教だからこそ、産み出された手法なのかもしれません。

もっと、ストレートにインドからの影響を受けているのは、やはり仏教です。前述のモーダカは、仏教と共に中国を経由して日本に伝わりました。若干作り方が代わり、より複雑になりましたが、ガネーシャの仏教としての神格である「歓喜天」に捧げるためのお菓子である「清浄歓喜団」として、現在まで伝わっています。

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【食べ物は、神と人を繋ぐ重要な要素である】

私たち人間にとって、「食べ物というのは非常に重要なもの」です。私たちの肉体を構成するための必須要素であり、なおかつ、その味で心も満たしてくれます。今回は非常に似通っている日本とインドの例でしたが、一神教のキリスト教にも聖餐式はあり、キリストの血と肉を象徴するワインとパンを食べますので、「食べ物と神を関連づける」というのは、世界共通なのかもしれません。ですから、食事をするときには、栄養補給や娯楽という観点だけでなく、よりスピリチュアルで高次なものとして取り組んでみることをオススメします。きっと、新しい発見があるはずです。

What to eat after the ceremony.
Common point of Japan and India.

 

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