一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.141 「すばらしき映画音楽たち」

音楽には太古の神秘が多数秘められているのだ。

映画音楽の醍醐味を深く考察する
秀作ドキュメンタリー!

私は映画音楽にうるさい。
気に入ったサントラは買う。

お気に入りの映画音楽の作曲家も多々いる。
たとえば、ダニー・エルフマンハワード・ショア、菅野祐悟など。
映画はもひとつだったけど、音楽は素晴らしかった!ら、その映画は私の中で永遠に残る。

また、音楽次第で映画の出来はかなり左右される。
それは本作で分かりやすく示されている。
しかし、サントラというのは後でCDを買って聴いてもなんか盛り上がらない。
やはり、映像あっての興奮度なのだ。

本作はそんな映画音楽の魅力を綴ったドキュメンタリー。
取り上げられた映画作品50本以上。懐かしい映画の名シーンが次々に出てきて当時を思い出したり、あれっ、こんなんだったっけ? とすっかりシーンや展開を忘れていたりで、夢中になって見入ってしまう。
映画ファンはもちろん嬉々とするが、ファンでなくても音楽の役割をへえーっと驚きと関心を持って観られると思う。

 

売れっ子作曲家たちが語る本音
映像を最大限効果的に魅せるために

映画音楽家の売れっ子たちや監督たちへのインタビューも30人あまり。
好きな作曲家のプロフィールも交え、あまり表舞台に出てこない音楽家たちの顔も観られて興味深い。
映画音楽というのは短い細切れの音楽を何十曲もシーンに合わせ作曲しなければならないわけだが、監督の要望も入れつつだし普通の作曲家よりかなり大変だと思う。
しかし、映像を最大限に魅力的に見せて感動を引き出す手腕はもはやマジックだ。
そのためには作曲家はどんなことでもする。
たとえば、ピアノを砂地の建物の上に置きっぱなしにして乾いた音を採取するとか……。
効果的な音に関しては凄まじい執念を見せてくれる。
それをどこで使うか始終頭の中でいろんな音のサンプルが用意されているのだ。

また、映画音楽は制作最後の作業で、音楽の出来が作品を左右する。
だからビッグ・バジェットのハリウッド大作への曲提供はもの凄いプレッシャーなのだ。
映画の看板が掲げられて音楽に自分の名前が出てることに、毎回「ただただ怖ろしい……できるわけないよ!」と大御所ハンス・ジマーは自嘲的に語る。
しかし、彼は毎回素晴らしく映像にマッチした音楽を作り出し、映画を大ヒットに導く重要な一翼を担ってきた。
ただただ素晴らしい。
たとえば「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズや「ダークナイト」「ライオン・キング」など多数。
あっ、いいなあ、と思ったら音楽のところに彼のクレジットがあることは少なくない。
しかし、毎回「怖ろしい!」とは、彼らの本音も親近感が沸いて、本作の面白い点だ。

 

音楽には音霊がある
神秘の音楽世界を堪能して神秘体験??

音楽には音霊がある。
美しい音楽を聴き続けていると魂も美しくなると言われる。
動物や植物に音楽を聴かせると成長が促進されたり、沢山花をつけたりする。
犯罪多発地域では、音楽の力で犯罪が減ったりもする。
また、エジプトのピラミッドのあの石をどうやって運んだのかというと、これも音楽(音)によって石を浮かせて運んだというのをバシャールの本で読んで驚いたことがある。
音楽には太古の神秘が多数秘められているのだ。
本作を観ていると、そんな音楽の力をヒシヒシと感じる。

私はよく映画を観ながら寝てしまうのだが、先日素晴らしく印象的な曲が鳴り響いている時にうとうとしていて(このうとうとしている時というのは瞑想と同じでシータ波が出てる状態)もの凄い至福のひとときを経験した(ほぼ体外離脱か臨死体験のような?)。
花で一杯の甘美な世界に天国の音楽が鳴り響いているという。
単に寝て気持ちよかったではない、不思議な浮遊感があって「ええーっ??」という状態。
初めての感覚だったのだが、その作品の音楽はルパート・グレグソン=ウィリアムズという人だった。
今後要チェックである。

さて、映画と音楽は切っても切れない関係だが、本作は映像と音楽、作曲家の関係だけではなく、自身の音楽への偏愛をも意識させられるような一作であった。
最後に、「タイタニック」のジェームズ・ホナーの新作音楽をもう聴けないのは誠に残念。
彼の笑顔を本作の最後で見られる。

 

監督・脚本 マット・シュレーダー
出演 ハンス・ジマー トレヴァー・ラビン レイチェル・ポートマン
クインシー・ジョーンズ ジェームズ・キャメロン ハワード・ショア
ダニー・エルフマン ジョン・ウィリアムズ ランディ・ニューマン

※93分

※10月14日(土)~関西ロードショー
※東京・公開中
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