『独立する連帯』が世界を動かす“風の時代”本格化の年に—二黒土星乙巳は、これまでの自分と訣別しより高みへと“脱皮”を図る時
新年明けましておめでとうございます。昨年も一年間、この『TRINITY』紙上で私の文章を読んでいただき、誠にありがとうございました。皆様、穏やかな令和7年のお正月を迎えられましたでしょうか。
今年の干支は乙巳(きのとみ)、二黒土星の年です。恵方(歳徳)は庚の方・西南西で、歳破は亥(北北西)の方となります。乙巳の“乙”は十干の2番目にあたり、草木が繊(しな)やかに生い茂る蔓草を意味します。
“巳”は、季節で言えば夏。胎児の形が字源で、動物の蛇という意味もあります。今年は、これまでの状況から“脱皮”し、再生と大きな変化が起こる暗示があります。昨年の干支であった“甲辰”の“辰”は妊娠するという意味がありましたが、今年は昨年起こった出来事、端緒についたものがグングン成長し、着実に未来の種を育んでゆくという年となります。
乙巳二黒土星は、“陰”のエネルギーが強まる年となるので、自己の内奥、本当の思いとしっかり向き合うことで、自分の人生、目の前の世界が好転してゆくでしょう。
“巳”には探求心、情熱、研究心といった意味もあります。今年はチャレンジ精神に富み、情熱を持って様々な課題に取り組むことが可能な年です。“巳”=“蛇”は、一般に弁財天のお遣いとされ、金運の象徴ともされています。今年は弁財天を奉る神社(都内では日本橋の小網神社、赤坂見附の豊川稲荷、門前仲町の七渡神社、京都では大原三千院など)や、蛇の化身とされる大物主神を祀る奈良の大神(おおみわ)神社などへ、お詣りに行かれると良いでしょう。また、水道を一般に“蛇口”とも言いますが、今年は津波や豪雨など、水害に注意が必要な一年となりそうです。
一方で“巳”は五行だと“火”に属するので、火山の噴火、大規模な火災の発生にも警戒が必要と言えるでしょう。個々の仕事面では、周囲から信頼度が上がり、リーダー的立場となる機会があるかもしれません。経済面では、株式市場で“戌亥の借金、辰巳で返せ” という言葉があります。乙巳の今年は、昨年に続き龍の如く株価も上がる要素が強いでしょう。少しでも良い景気を、期待したいものです。
今年の年運である二黒には“地球、大地、慈愛、貞節、母性愛、迷い”といった象意があります。“土”の星ですので、今年は、厳しい経済状況の中でも目先の困難に果敢に立ち向かい、大切なものを護るために、粘り強く奮闘する人が多い暗示です。物価高による生活苦に喘ぐ市井の人々には、子供の学費や生活費などを賄う為に、投資や副業など二次収入をつくろうとする動きが増えそうです。
また、冥王星の水瓶座入り=本格的な風の時代入り(後述)と相俟って、大規模な自然災害(地震、津波、豪雨、噴火)の発生が懸念されます。自宅の耐震補強や震災グッズの準備など、対策は万全にしておきましょう。また日本国内では、多文化共生政策の浸透からくる価値観の違いを理由とした様々な軋轢、事件の頻発に注意が必要と言えそうです。女性は特に、性的暴行等の被害に遭わぬよう、護身術を身に付けたり、屈強な男性の友人と一緒に行動するなど、対策を講じましょう。
今年の納音(なっちん)は、昨年に引き続き覆燈火(ふくとうか)。燈りが覆われているため、松明を掲げている人のごく周囲のみに、光が当たる暗示です。ある一定の分野では多くの注目を浴びるような発明や素晴らしい成果がクローズアップされ、希望が出てくる気配ですが、一方で光が当たらず、隠れたところでは不穏が動きがあったり、虐げられている人々に、救いの手が届かないといったことがあるかもしれません。生活苦から、闇バイト等の犯罪に手を染める若者の検挙数も、昨年より増えるでしょう。“陰”に引き摺られぬよう、しっかりと対策をしておきましょう。
二十八宿は、柳宿(りゅうしゅく)。今年は、会社の設立登記や開業、移転、家の新築に適した年です。また、気分転換にヨガや滝行、整体などの精神鍛錬や身体のリフレッシュをすると、運が上がりそうです。また、知人から持ち込まれていた、気の進まない投資の誘いなども、キッパリ断るのには良い年と言えるでしょう。
今年は、人智の及ばぬ天意によって、物事が運ばれ大きく状況が変わってゆく年の暗示です。日本人の波動の低下は、そのまま地球の波動の低下、人心の荒廃に繋がります。日本は、世界のひな型です。常に自己を陶冶し、高い波動を保ち穏やかに日々の生活を営みたいものです。
2025年を表す漢字一文字は“変” — 皆が過去の殻を脱いで、旧いものを捨て去り新しいモノ、出来事がどんどん始まる年
過去の“巳”の年を振り返ると、古くは645年(大化1/乙巳)年→大化の改新、1185年(元暦2/乙巳)→壇ノ浦の戦いで平家滅亡、元暦大地震、近代以降は1905(明治38/乙巳)年→日露戦争終結/ポーツマス条約締結、1917(大正6/丁巳)年→ロシア革命勃発、1929(昭和4/己巳)年→世界恐慌、1941(昭和16/辛巳)年→太平洋戦争勃発、1953(昭和28/癸巳)年→NHK・日本テレビが本放送開始、1965(昭和40/乙巳)年→日韓基本条約調印、いざなぎ景気、1977(昭和52/丁巳)年→ダッカ日本航空機ハイジャック事件、1989(平成元/己巳)年→昭和天皇崩御、バブル景気、2001(平成13/辛巳)→小泉構造改革スタート・愛子内親王殿下ご誕生、2013(平成25/癸巳)→アベノミクス始動と、“巳”に込められた“再生、変革”の意味合いが強く、その後の国家の方向性を決定づけ、社会に大きな影響を与えた出来事が起きています。
今年はアメリカのトランプ大統領復活もあり、様々なデクラス(機密情報開示)が行われ、その結果、国内外を問わずそれまでの価値観を覆うような、将来の歴史に残るなんらかの出来事が、発生する可能性が高いと言えるでしょう。個人に於いても、隠し事や不倫などが露見する暗示があります。品行方正を、心掛けたいものです。
また、過去の“乙”の年には、1945(昭和20/乙酉)年=太平洋戦争終結、鈴木貫太郎→東久邇宮稔彦王→幣原喜重郎と首相の度重なる交代、1955(昭和30/乙未)年=自由民主党結成(保守合同)、1985(昭和60/乙丑)年=日航ジャンボ墜落、1995(平成7/乙亥)年=阪神大震災/地下鉄サリン事件、2005(平成17/乙酉)年=郵政解散で自民党大勝と、政変や天変地異といった、歴史の大きな転回点とも言うべき出来事が発生しています。
昨年は総選挙で自民党が大敗し、少数与党政権となる事態が発生しましたが、今年は日本の首相が再び交代する可能性が高いと言えるかもしれません。長期に亘り政権を担った自民党をはじめとした老舗政党が著しく衰弱する過程に入り、新興政党が勢いを伸ばすでしょう。また、フランスや韓国、ドイツと立て続けに政権の崩壊が報じられていますが、風の時代が本格化(後述)する2025年は、三次元のアンシャン・レジーム(旧体制)が、音を立てて崩れる年です。これからは国家や組織に依存せず、自立した者同士による“独立する連帯”が、社会を変革してゆくエネルギーの中心となりそうです。
西洋占星術の観点で言えば、昨年11月20日の冥王星の水瓶座への完全移行に伴い、正式に“風の時代”がスタートしました。水瓶座にはインターネット、新しいネットワーク、共に生きる仲間、フラットな人間関係、得意分野、予想外の変化、といったキーワードがあります。今後2044年までの20年間で、これまで大きな権威・権勢を誇った政党、大企業や大学、銀行、テレビ・新聞、宗教団体などがその影響力を失い、弱体化の一途を辿るでしょう。
組織に寄り掛かって生きる時代ではなく、送信ボタンひとつで“風”のように自分の意志を届ける文明の利器=SNSを使って、そこでご縁を得た仲間と手を取り合い、助け合って生活を営む姿が、スタンダードとなってゆきます。自らの人間性と社会性を涵養し、剥き出しの個人の実力で勝負してゆく時代に突入しています。誠実な人には生きやすい時代ですが、性格の悪い者、人徳なき者、常識に欠ける者は社会から淘汰され、脱落してゆく厳しい時代と言えるでしょう。
今年注意すべきは、3/14の乙女座満月(皆既月食)から、海王星が牡羊座に入る3/30までの期間です。春分(3/20)も迎えるこの16日間は命の分かれ目、魂のふるい分けともいうべき大規模な戦争、天災やパンデミックが起きる可能性があります。
冥王星水瓶座時代は過去に、日本では1293(正応6)年にマグニチュード8の鎌倉大地震、1540(天文9)年には大雨と蝗害による天文の大飢饉発生、1783(天明3)年には岩木山および浅間山噴火、そして天明の大飢饉、1787(天明7)には江戸と大坂で大規模な打ちこわしが、また海外では1783~85年のアイスランドでのラキ火山およびグリムスヴォトン火山の噴火、1789~95年のフランス革命、1775~83年のアメリカ独立戦争と、多くの干戈、火山噴火の発生および人命が失われる事件が起きています。
一説には、新約聖書の『ヨハネの黙示録』に記されている7年間の“大患難時代”は、この2025年からの出来事を指すとも言われています。複数の国家の消滅・滅亡等で、多くの人命が失われる可能性もあるでしょう。まさに“神による選別”が行われる厳しい時代に入ったという覚悟を、私たちは求められているのかもしれません。
上記を挙げた上で、姓名学者として、令和7年/2025年を象徴する漢字一字を挙げるなら、やはり“変”としたいと思います。
“蛻変(ぜいへん)”という言葉があります。これは、蝉の卵が幼虫になり、 やがてサナギとなり、羽化して成虫になっていく様を指します。“蛻”の字は“もぬけの殻”を意味しますが、この2025(令和7)年は、これまで支配的だった三次元の栄誉、栄達を追い求める価値観が不要となり、真の意味でこの地球が“脱皮”する、新たなフェーズに入る年です。
変化、変容、激変、豹変、大変、変革。風の時代に、旧いものは全て塵となり、遠い記憶の彼方に消え去ってゆきます。大きなパラダイム転換の節目に、未曽有の混乱が発生することは避けられませんが、ひたすら誠実に“徳”を積み、善き“ムスビ”を得て、この険しい時代を生き切りたいものです。
年頭に当たり、今回は昨冬、93年の生涯を終えた現代を代表する詩人・谷川俊太郎(1931~2024)の名作『色の息遣い』から、『青は遠い色』の一節を引きたいと思います。
“どんなに深く憧れ、どんなに強く求めても、青を手にすることはできない。
すくえば海は淡く濁った塩水に変わり、近づけば空はどこまでも透き通る。
人魂もまた青く燃え上がるのではなかったか。
青は遠い色。
漠としてかすむ遠景へと歩みいり、形見として持ち帰ることのできるのは、
おそらく一茎のわすれなぐさだけ、
だがそれをみつめて人は、忘れてはならぬものすら忘れ果てる。
おのがからだのうちにひそむ、
とこしえの青ゆえに。”
“青”は、私たち人間を生んだ海の色であり、いつも上から静かに見守る、空の色でもあります。海を眺める時、私たちは母親の母胎で羊水に浸かり“今か今か”とこの世に生まれ出ることを待っていた時を思い出し、空を見上げた時、その雄大さと美しさに、自分の抱えていた悲しみや寂しさの小ささに気づき、改めて“前を向いて頑張ろう”と決意を新たにします。
“青”に抱かれながらこの世に送り出された人間の魂は、出逢う人や場所によって幾つもの違う色を知りながら、命を終えた時に再び、“青”へと帰ってゆきます。今年は“魂”のふるい分けが起きる激動、激震の年となりますが、いつか必ず還ってゆく“青”に向けて、悔いのないように毎日を、しっかりと生き抜きましょう。令和7年、皆様の魂が、どこまでも青く、気高い日々となりますことを、心より祈念しております。
(了)