悲劇のヒロイン要素山盛りの女神様 『橋姫』

『女神』って、「華やかなエピソード」をもっているものですが、日本には、まるで昭和のドラマのように、さまざまな「苦難を背負った女神」が存在しています。その悲劇のヒロイン(?)「橋姫」のお話しです。

【橋姫の本性は美しく聡明だった】

なにかと嫉妬深いところばかりがクローズアップされる橋姫ですが、本来は「美しい女性だった」とされています。重要な場所である橋を守るのですから、美しく聡明な女性のほうがふさわしいわけですが、それが怖い存在へと変わっていった理由としては、「人柱」という風習が関係しているのではないかといわれています。

 

【人柱への後ろめたさが女神を鬼へと変える】

橋を作るときに、「川の神様に生贄を捧げることで橋が壊れなくなる」という信仰があったために、地位の低い「女性や子供などが工事の時に埋める」という痛ましい風習が人柱です。

橋を作るというのは一大事業という側面もあったために、失敗しないためにはどんな手法でも許されていたわけです。とはいうものの、人柱にされた人は、その命を失うわけですので、村のために犠牲にしてしまった人柱への後ろめたさが、橋姫に恐ろしい性格を与えてしまっていたというわけです。

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【様々な性格を見せる橋姫】

実際に、怖い橋姫だけではなく、夫を川の神様である龍神に奪われたにもかかわらず、ずっと待ち続けるという「穏やかな性格の橋姫」の伝説もありますし、そのままストレートに「人柱にされた女性が橋姫になった」という伝説も残っているのです。

現代では当然ながら、人柱などという人権を無視したような風習は失われており、橋の建造技術も格段にアップしていますので、悲しく怖い橋姫があらわれることはないのですが、すでに怖い存在として固定されてしまった橋姫も多く存在しています。前述の宇治の橋姫は、あまりにも有名なために、逆に「縁切りに強い御利益がある」として多くの信仰を集めているのです。

本来は美しく聡明だったはずなのに、人の身勝手と後ろめたさによって鬼へとおとしめられてしまった橋姫。どこかで祀られている神社をみかけたら、怖がらずに参拝してみてください。悲劇のヒロインである橋姫がもつ繊細なエネルギーを感じられることでしょう。

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Tragedy of heroine “hashihime”.
Hashihime’s secret.

 

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