Trinity読者の皆さま、こんにちは。アーユルヴェーダ研究家の遠田優美です。
本連載では、心の健康のためのアーユルヴェーダの日常生活法「サッドヴリッダ」をご紹介しております。
身体・言葉・思考を一致させる
健康な精神作りのために、
『嘘をついてはいけない』
とアーユルヴェーダは説きます。
嘘をつかないとは、「身体における行為、発する言葉、感情や思考」を一致させることです。
このことは、健やかな精神作りのためにとても大切なことです。
その証拠に、「嘘をついてはいけない」という教えは、
サッドヴリッダの「するべからず」の冒頭に書かれています。
嘘の影響
嘘をつくこと、つまり「身体における行為、発する言葉、感情や思考」に矛盾を生じさせることは、自分自身に大きなストレスを与えます。
世間は騙せても、自分自身を騙すことはできません。
どうあっても、自分のつく嘘のストレスからは逃れることができないのです。
また、多くの皆さんが経験しているように、嘘はいつかばれてしまうことが多いですね……。
どこかで辻褄が合わなくなってくるのです。
嘘がばれると、当然のことながら、嘘をつかれた人は不快な思いをします。
嘘をついた本人も、不快な思いをします。
そして、“オオカミ少年”の話にもあるように、嘘が繰り返されることで、周りの人たちはやがて、誰もその人のことを信用しなくなります。
私達はお互いを信用しあうことで社会生活を送っています。
例えば、道を歩く時には、道路が切れ目なく続いていて、信号機がちゃんと作動して、車が交通ルールを守って、といったことを信用しています。
つまり、他人の働きや行動、善意を信用しているのです。
不測の事態に備えることは必要ですが、お互いの信用が基盤になければ、おちおち道を歩くことさえもできません。
信用を無くすということは、円滑に社会生活を送ることができなくなるということです。
周りからの信用を失い、家庭や学校や職場での社会生活を円滑に送れなければ、それはとても大きなストレスとなることでしょう……。
自分自身への信用
嘘をつくことで周りの人からの信用を失うだけでなく、自分自身を信用することができなくなります。
自分を信用できないということは、自信が無くなるということです。
自信が無くなると、不安や緊張や怒りといった、自分を苦しめるような感情が多くなります。
その不安を解消するために、また嘘をつき、自己嫌悪に陥る……といった悪循環に入ってしまうこともあるでしょう。
いかなる種類の嘘からも遠のく
いかなる嘘からも遠のき、正直にいることが心の平安につながるとアーユルヴェーダは説きます。
大きい嘘、小さい嘘…嘘にもいろいろ種類がありますね。
自分の利害のためにつく嘘、
自分を非難から守るためにつく嘘、
自分の見栄のためにつく嘘、
経歴を偽ったり、自分がした失敗を他人のせいにしたり、他人の成果を自分のものにしたり…、こういった嘘は、誰もがいけないものだと認識しやすいのではないでしょうか。
その場しのぎのための、ちょっとした嘘もあります。