Trinity読者の皆さま、こんにちは。アーユルヴェーダ研究家の遠田優美です。
本連載では、心の健康のためのアーユルヴェーダの日常生活法「サッドヴリッダ」をご紹介しております。
他者から奪わない
健康な精神作りのために、
『奪ってはいけない』
とアーユルヴェーダは説きます。
「奪う」とは、「他者の所有するものを取り上げる」ということです。
窃盗や強盗など、他人の財産や持ち物を奪い取ることはもちろんですが、
他人の恋人を奪ったり、他人が受けるべき称賛や名誉を奪ったりすることもいけません。
私はこちらのコラムの文中で、「……とアーユルヴェーダは説きます。」「……と古典には書かれています。」などの言葉を使うことも多いのですが、それは、私の持っている知識は全て古典が基になっており、もし、このコラムを読んで、どなたかが「役に立った! 素晴らしい!」と感じたとしたら、それは私の手柄ではなく、その称賛は先人達が何代にもわたって伝えてくださった「アーユルヴェーダ」そのものに向けられるべきもの……という気持ちからです。
不当な賃金で労働力を搾取したり、逆に、労働に見合わない報酬を要求したり、適正ではない価格でサービスや商品を販売したり、適正な価格を支払わなかったり、といったことも当てはまるでしょう。
また、講座を開く講師が、遅刻をしてきたり、十分な材料や設備を準備していなかったりすれば、参加者から多くの時間やお金や労力を奪うことになりますし、
逆に、申込みをした参加者がドタキャンや無断欠席をすれば、主催者や講師の時間やお金や労力を奪う結果となるでしょう。
受けとって、返す
空気、水、食料、家族の愛、教育、お金……
私達は、生まれたその瞬間から、さまざまなものを受け取らなければ生きていけません。
大切なことは「受け取って、返す」ということです。
受けとったまま返さなければ、「奪った」ことになります。
この大自然は、「受け取って→次に返す→受け取って→次に返す……」の循環をして成り立っているのです。
窃盗などの犯罪を働かなくても、私達人間はオギャーと生まれた時から、母乳を吸って母親の栄養を奪い、息をして空気中の微生物の命を奪い、歩いて地面の虫の命を奪い……常に「奪って」生きているとも言えます。
受けとった栄養や命に感謝して、それを糧として働き、社会や自然にお返しすることが必要です。
奪ったままであれば、「盗人」になってしまいます。
お返しをしない盗人が多くなれば、この生命の循環は止まり、
個人の健康も、社会全体の幸福も望むことはできないでしょう。
他者のものを欲しがらない
奪ってはいけないどころか、他者の所有物を心の中で羨ましがったり、欲したりしてもいけないとサッドヴリッダは説きます。
「○○さんはいつも素敵な宝石を身につけていて羨ましいなぁ……」
「◯◯さんは素敵な男性と結婚できていいなぁ……」
「近所の〇〇さんは資産家で羨ましいなぁ……」
「○○くんみたいに留学して英語がペラペラだったら良かったなぁ……」
思い当たる節は私もたくさんありますが……、
一度こういった気持ちを持ち始めたら、際限なく次から次にわき出てきます。
他者の所有物を欲するということは、妬み、嫉みという感情につながり、不安や怒りを招きます。
前述のとおり、実は、私達は生まれた瞬間からたくさんのものを受け取っており、既に潤沢に財産を持っているのです。
他人ばかりを気にしていると、自分の手にしている財産に目がいかず、どんなに多くのものを抱えていても足りず、不満ばかりが募るのです。
まさに、「足るを知る者は富む」、
自分に意識を向けて、受け取っている多くの恵みに気がつくことができれば、心は満足し、豊かな人生を生きることができるでしょう。
そのためには、五感を使って、毎日の暮らしを丁寧に楽しむことが必要です。
目の前の大福に集中して食べれば、満足度100%で、幸せなお茶タイムだったかもしれませんが、
テレビでケーキバイキング特集をみながら、大福を食べれば、満足度は50%まで落ち、「できればあのおしゃれなカフェでケーキバイキングしたかった~」と、不満の残るお茶タイムに終わるかもしれません。
満足度100%の毎日を送ることで、「奪う」ではなく、満ち足りた気持ちでその感謝とともに「お返しする」ことが、本当の幸福な人生だと感じるようになるのだと思います。
この文章を読んでくださった皆さんの人生が、より幸せに満ちたものとなりますように。
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