身体の不調退散! 平安成就!柳澤眞悟師に聞く、心の健康法①

衆生救済のため、日夜修行に励み、祈りを捧げる僧侶に、私たちでも実践できる瞑想、呼吸法など、健やかな心身を保つための方法を伺った。

私たちは、ストレスを全く感じなくなってしまうと、精神のバランスが崩れて逆におかしくなってしまう。
精神的なバランスを保つためにも、般若心経を唱えて心身の状態を整えておくことが大切だと柳澤師が語ってくれた。

 

般若心経の力

私たちは日々ストレスを感じながら生きています。原因は仕事、人間関係などそれぞれだと思いますが、ストレスによって辛い思いをしてしている読者も少なくないと思います。

その苦しみから救われるには、まず、ストレスから逃れようとすることを止めることです。肩の力を抜き、あるがままの今の状況を「受け止める」のです。生きていく上でどんな恵まれた環境におかれても、全くストレスを感じずに生きてゆくことは不可能なのです。

むしろストレスによって過度なダメージを受けないよう、常日頃から心身の状態を整えておくことが大切です。
そのために、すぐに実践できる方法は、般若心経を唱えること。

仏教になじみのない人でも一度は耳にしたことがあるほど親しまれている般若心経は、278文字しかない大変短いお経ですが、実は大変な力を秘めています。毎日唱えることで、私たちの心を、神経細胞レベルで落ち着かせ、整えてくれます。

多忙な人でも、ほんの数分、般若心経を一度お唱えする時間ぐらいは作れるでしょう。場所はどこでも構いません。しばし落ち着けるスペースに座ってお唱えしましょう。

姿勢は正しく。背筋を伸ばし、おへその下の部分をしっかり伸ばすことを意識ししてください。良い姿勢というと、胸を張りすぎる人がいますが、ポイントは胸の部分よりもお腹まで空気がきちんと入っていくかどうかです。

心身を落ち着かせ、合掌し、般若心経を唱えます。声に出しとお唱えしにくい環境であれば、心の中でお唱えしてもよいし、忙しい方は毎日一度だけでも。時間があれば数回繰り返してお唱えしましょう。

002

 

毎日続けることが大切

大切なことは、唱える回数ではなく、毎日長く続けていくことです。
いくら大きな力を持っているといっても、一度お唱えした途端劇的な変化が現れるわけではありません。毎日続けるうちに、心身を穏やかに保つ力が少しずつ備わってくるのを、実感できるはずです。

毎日続けるということはどんな簡単なことでも大変難しいことです。どうしても今日はできないというときは、1日だけ休むというのは許容範囲です。
これは私たちの修行などでもそうです。
1日だけなら翌日再開すればすぐ取り戻すことができます。ただし、2日以上止めてしまうと、せっかく蓄積した変化もゼロに戻ってしまいます。

 

000

柳澤眞悟:

昭和23年長野県茅野市に生まれる。
25歳で吉野山金峯山寺に入寺。
35歳で「大峯千日回峰行」(金峯山寺蔵王堂から大峯山上ヶ岳の山上蔵王堂の山道を毎日往復48キロ、8年かけて千日間歩く)を戦後初めて満行。平成22年に権大僧正。現在は金峯山寺副住職、金峯山修験本宗「成就院」住職を務める。

 

TRINITY 50号より

special thanks:midori kurohashi tsuyoshi matsuura