過去に縛られずに人生をおくるためにー脳のneuroplasticityを活用する方法

過ぎ去ったはずの過去の失望や失敗、悲しみに恐怖でいつまでも縛られてしまっている……こんな心当たりはありませんか? それは今でもあるかのように見える『幽霊』と同じものです……。 これらは脳のポジティブ回路の強化し、ネガティブ偏向を改めることが大切なのです。

Fear is yesterday.
恐怖はきのう(過去)のこと。

これは、ロバート・ホールデン(Robert Holden)著の”Shift Happens”の見出しの一つですが、端的に恐怖の意味を言い表していて、覚えておくと便利だと思います。恐怖を感じたとき、これは過去のことで、今とは関係ないと自分に言い聞かせるときに。

 

<恐怖で縛られる人生>

氏はカウンセリングの経験から、恐怖が病気や苦痛など、あらゆる問題の根本原因だということに気づきました。恐怖や不安を感じるときは必ず、過去の嫌な出来事を思い出しているということです。その結果、満たされない人生を生きている人は多いのですね。

– 過去の関係で傷ついたので、再びデートするのを恐れる女性。

– 両親が離婚したので、結婚にコミットできない男性。

– 過去に受けた癒されない心の傷のため、物事に対して防御的で皮肉っぽく、今を楽しむことをあきらめた人たち。

– 職を失うとか、貧しい家庭で育ったという過去のため、現在、お金に不自由していないのに、過労になるくらい働かないと気が済まない人たち。

– 過去の失敗や批判を受けた経験から、才能があるにもかかわらず、何か新しいことを始められない人たち。

– 幸福の絶頂から悲しみのどん底に落とされた経験があるため、今、幸福を味わうことを恐れる人たち。

- 昔の自信喪失感や自己批判、まだ捨てきれない思い込みや恐れから、自分の夢を追いかけることができない人たち。

過去の失望や失敗、悲しみはもう過ぎ去ってしまったのに、今でもあるかのように見える幽霊と同じです。それでも、人はそうした苦痛の過去を握り締めて、何度も反芻しては、なかなか放そうとしません。これには理由があります。

脳の科学者たちによると、サバイバルの副産物だということです。

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<サバイバル脳>

わたしたちの遠い祖先は、常に危険なものを察知し避ける必要がありました。これは命にかかわることです。ところが、よいものは、今回逃しても、また次の機会があります。こうして、脳の回路がネガティブ偏向に進化したというのです。

このため、テリトリーが脅かされたり、変化が起きたり、当てが外れたり、脅威が高まるという条件が起こると苦痛を感じるように神経回路が形成されました。危険信号を察知することが重要なので、脳は、他にすることがないときは、危険がないかを常に確認しています。こういうわけで、ポジティブ情報よりもネガティブ情報を察知するのが早くなりました。さらに、ネガティブなことは一度起きただけで、将来のためにしっかりと記憶に刻まれます。

どうしても過去の失敗や失ったものに注意が向いてしまうというのはこういうわけです。過去の出来事を何度もシュミレートしては、神経回路をゆるぎないものにしてサバイバルのための行動をパターン化させています。

現代人は、日常、命の危険にさらされることはほとんどありません。サバイバルのために進化した脳ですが、大きなつけを払うことになりました。今、満たされていることに気づかず、いつも過去の苦痛を思い出しては反芻し、将来、それが起こらなければよいがと恐怖するので、なかなか落ち着いて幸せを感じられません。

これをほっておくとネガティブ偏向のままですが、変えることはできます。ラッキーなことに、”neuroplasticity(神経可塑性)”という性質のために、年齢に関係なく脳の回路を変えることができるのです。

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