まるでモンスター? 多くの御利益をもたらしてくれる異形の神「宇賀神」

宇賀神は、前述のように老人と女性という顔があるのですが、女性の顔をもった場合は、七福神の一柱である「弁才天」と同一視されます。

 

蜷局を巻いた蛇の身体に大きな人間の顔

身体は蛇で何重にも蜷局を巻き、顔は人間。
このように表現されると、かなりグロテスクなイメージが湧き上がると思います。
顔は時に「老人」であったり、時に「美しい女性だ」ったりするこの存在は、「幸運や金運、智恵、五穀豊穣」など、多くの御利益をもたらしてくれるといわれている神様なのです。

 

謎の多い神様

御利益が非常に多彩であるにも関わらず、この神様は「出自が謎」となっています。
最も有名な説としては、名前が似ていることから穀物の神様であり、日本中で多く祀られている「宇迦之御魂神(うかのみたま)」の別の姿ではないかというもの。

宇迦之御魂神といえば、通称お稲荷さんとして、商売繁盛、五穀豊穣という生活の根幹を担う御利益をもたらしてくれる神様であり、現在に至るまで多くの信仰を集めています。
お稲荷さんといえば、「狐」が有名ですが、宇迦之御魂神が狐であるわけではなく、あくまでも狐はお使い、すなわち神使ですので、本体が蛇の格好をしているという可能性もなくはありません。

しかしながら、これだけ有名な神様ならば、いくら異形の姿とはいえ、その存在があまり注目されていないのは不思議ということもあり、名前が似ていることから、関連づけられただけというわけです。
別のものとしては、仏教由来という説もあります。それによると宇賀神は「宇賀耶」、日本語にすると「如意宝珠王」を示すというのです。

 

shutterstock_339266870

 

如意宝珠とは、名前通り願をかけることで、「全ての願いが叶う宝物」です。こちらは、その姿が「桃の実に似ていることから邪気を退ける、すなわち魔除けの力がある」ともされています。
つまり、如意宝珠を神格化した存在ということになります。