【死者が戻ってくる日】
「あの世とこの世の境目が曖昧」になる、というと、最近では日本でも定着してきた「ハロウィン」がイメージされがちですが、日本にはもっと古い時代から、そういう日が存在していました。
今でも行事自体は多くの人が行っているにもかかわらず、意外とその詳しい意味は知られていません。
その日というのは「お盆」。
8月に入ったらお盆休みがあり、帰省の計画を立てている方も多いかと思いますが、お盆は祖先の霊と共に過ごし、彼らと交流するというもの。現在では8月13日に迎え盆をして、先祖の霊を迎え火によって招き入れ、14日、15日は先祖とともに過ごして、16日に送り火をもって先祖を見送るというのが基本的なパターンとなっていますが、本来は旧暦の「7月15日」に行われていたものでした。
【お中元は元々は、罪を赦す日だった】
なぜ、この日に行われるようになったのかというと、いくつか説があります。
しかし、こちらは後世の創作であり、元々は「中元」という行事が行われていたために、7月15日が選ばれたのではないかといわれています。
この中元は、本来の意味とはちょっと違った形で現在も存続しています。それは日頃の感謝を伝える「お中元」。
一般的に「お中元は7月15日まで贈る」とされているのは、前述の中元が元になっているのです。
では、この日はいったいどんな日だったのかというと、その大元は「三元」という道教の行事でした。
【3柱の神様の御利益を得る】
三元には「上元」「中元」「下元」がありました。ちなみに「上元は旧暦の1月15日」、「中元は7月15日」、「下元は10月15日」となっています。それぞれに対応する神様が存在していて、その神様によってその日に得られる御利益が変わってくるとされたのです。
下元の神様は「水官大帝」で厄払いをしてくれる神様とされています。
中元の神様は「地官大帝」。
こちらは罪を赦してくれる神様であり、中元に「地官大帝に祈ることでさまざまな罪が赦される」ということで、道教では、この日になると、一日中火を焚いて祝ったのだそうです。
つまり、前述のように「死者の罪が赦される日」として、7月15日が指定されたのは、この中元がルーツというわけです。日本ではなぜか、本来の意味合いがなくなり、お盆前の贈り物という形でのお中元が残ってしまいましたが、死者が罪で苦しまないように祈るのが本来の中元なのです。
【お盆の本質は満月にあり?】
これらの行事と、日本に古来からあったといわれている「御霊祭り」という祖先を迎える祭りが混ざり合ったことで、お盆が誕生したというのが、もっとも有力な説なのですが、興味深いのは、ほとんどの行事が7月15日という「満月の夜」に行われていたことです。
旧暦の7月15日は「必ず満月になります」。梅雨が終わったあとなので、かなりの確率で美しい満月を見ることができたことでしょう。スピリチュアルな世界では「月は、霊的な領域を示す」といわれていますが、昔の人たちは、そんな満月の霊的な力によって、あの世とこの世の境がゆらいだときをねらって、祖先を迎え、彼らが苦しまないように祈っていたのかもしれません。
ちなみに、今年の「旧盆は8月28日」となります。通常のお盆は終わったあとですが、タイミング良く週末の金曜日となっていますので、空を見上げて、境界を揺らがせる満月のエネルギーを感じ、そして、祖先や死んでしまった人たちの罪が赦されることを祈ってみませんか? そうすることで、先祖とのエネルギーと繋がり、1年間しっかりとサポートしてもらうことができるはずです。
The date on which the dead come back.
To connect with the energy of the ancestors in the full moon force.