【古代に作られた大規模なお墓】
ドルメンとは日本語に直すと「支石墓(しせきぼ)」。あまり聞き覚えのない言葉だと思いますが、名前の通り、大きな石をいくつかの石で「支えた」タイプのお墓です。とはいっても、一般的なお墓というイメージに比べるとかなり「巨大なもの」です。そのために、「巨石によって作られた遺跡」をすべてドルメンと呼ぶこともあります。
一般的には今から「6000年ほど前」に西ヨーロッパで作られたドルメンが、もっとも古いものではないかといわれています。こちらは墓所を支柱となる長方形の石で囲い、その上に平たい「天井石」と呼ばれる石を載せたもの。巨大で重い石を並べたり、積み重ねたりするという大規模な工事が必要なために、ドルメンはかなり権力をもった人物のお墓だったと考えられています。
【世界中に存在するドルメン】
興味深いことに、同じような形をしたドルメンは「世界中」で見ることができます。中国や朝鮮半島などにもありますし、日本では縄文時代に似たようなドルメンが作られていましたが、最も有名なものとしては、「国内最大級の古墳」であり、「国の特別史跡」にも指定されている「石舞台古墳」があります。
【日本有数のドルメン 石舞台】
奈良県にあるこの古墳は、「1300年ほど前」に建造されたものであり、他のドルメンに比べると比較的新しいものですが、総重量「2300トンもの石」を使ってつくられており、その建造技術はかなり高度なものだといわれています。当初は土で覆われていたものが、その土がなくなったことで、名前の通りまるで舞台のような姿を現しており、その上で「狐が女性に化けて舞をみせた」という伝説が残っています。
【なぜ巨大な石を使ったのか?】
石舞台古墳と同じように、西洋のドルメンも本来は土で覆われていたものが多く、石はあくまでも枠組みであり、重要なのは「内部に収められた棺」であったとされていますが、枠組みに巨大な石を使ったことには、どんな意味があったのでしょうか?
こちらも世界中に存在することで有名な、「ストーンサークル」をはじめとして、「巨大な石には神秘的な力が宿る」と考えられてきました。日本ではそのものズバリ、「磐座」として「巨大な石に神様が降りる」と考えられていましたし、ストーンサークルに関しては天文学のための装置という説もある一方で、「大地を流れるエネルギーラインを制御するためのスピリチュアルな装置だった」という説もあります。古代の人は「天と地のエネルギーを導き、神を呼ぶものとして巨石を利用する」という技術をもっていたのかもしれません。実際に、中国などで作られたドルメンは、たんなる墓所ではなく、天井石の下で祭礼を行うこともあったのです。
【ドルメンと鳥居の関係】
ちなみに、ドルメンのような形をしたものが、日本には多くあることにお気づきでしょうか? それは「鳥居」。鳥居の起源ははっきりとわかっていないのですが、その起源のひとつとしてドルメンもあります。鳥居の役割としては神聖な境界を示すだけでなく、「現世から別の世界へと移動する、いわばこの世と別の世を繋ぐ扉でもあった」と考えられています。
偉大な死者の場所であったドルメンが、鳥居と似ている形をしているというのは、死者がスムーズにこの世からあの世へと旅立つことを速やかにサポートするために作られた、「超大規模な呪術的装置」だったのかもしれません。
【自然に出来たドルメン】
日本には石舞台のようなある程度建造目的が明らかなものも多くありますが、中には岩手県にある「続石」のようにドルメンの形状をしていながらも、どういう理由で成立したのか、「自然物なのか人工物なのかも謎」というものも多くあります。もしかしたら、偶然巨石がドルメンのような形状になったものからエネルギーを感じ取った古代の人々が、人工的に作り始めたものが、ドルメンの起源という可能性もあります。
小さな島国でありながら、石舞台的なドルメンから、続石のようなドルメンまで様々なものが点在している日本ですので、どこまでドルメンをみかけたらそのエネルギーを体感してみると古代の人々の考えと繋がることができるかもしれませんので、チャレンジしてみてください。
Dolmen the entrance of the alien world.
Dolmen and torii of relationship.
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