夏じゃなくても飲みたい日本古来の健康ドリンク “麦茶”

古くから親しまれてきた麦茶ですが、「麦湯」という名前からもわかるように、本来は、「温かい状態で飲むもの」でした。

【春でも麦茶を飲もう】

夏の飲み物といえば「麦茶」。様々な飲み物が溢れている現代でも、日本人にとって夏の重要な飲み物であることには変わりありません。麦茶は名前の通り「麦」が原料です。正確には「大麦」であり、「世界最古の穀物」でもあります。

大麦は「古代エジプトで王の副葬品として収められた」ことから、少なくとも「3000年以上前」から生活に取り入れられていたことがわかっています。日本には中国から朝鮮半島を経由して、今から1800年前に伝来し、奈良時代には日本全土で栽培がはじまりました。

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【平安時代から飲まれていた麦茶】

平安時代頃には、大麦を焙煎することで飲料として活用されるようになり、こちらが「麦茶のルーツ」とされています。当時は貴族だけが飲用することのできる「特別な飲み物」だったのだそうです。その後も、長い間麦茶は高い地位の人々が飲むものとされ、戦国時代には武将たちが飲んでいました。

 

【江戸時代のカフェは麦湯が人気】

そんな麦茶が一般的になったのは江戸時代。「麦湯」という名前で露天にて販売されるようになりました。今では家庭で簡単に作れる麦茶ですが、当時はまだそこまで普及してはおらず、今でいうところの「カフェ」感覚で、夏になると街中に縁台を並べた麦湯店が見られたのです。そのうち、美しく着飾った娘達が麦湯を販売するようになったというあたりも、なんとなく現代のカフェと共通したものを感じさせてくれます。

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【本来の麦茶は温かかった】

それだけ古くから親しまれてきた麦茶ですが、「麦湯」という名前からもわかるように、本来は、「温かい状態で飲むもの」でした。江戸時代にも「暑気払い」として飲んでいたわけですが、温かいものを飲むことで、逆に清涼感を得るという発想があったようです。また、大麦自体に「身体を冷やす働きや、ほてりを鎮める作用がある」ことから、夏に飲むというのは非常に理にかなっています。現在のように冷やした麦茶を飲むようになったのは、家庭に冷蔵庫が普及し始めた「昭和になってから」ですが、麦茶には夏限定の飲み物にしておくにはもったいないほどの、「健康をもたらす効能」が多く秘められています。

 

【各所で研究が進む麦茶の健康への作用】

前述した身体を冷やす働きだけでなく、麦茶には「利尿作用があることで、むくみを防止」してくれます。また、身体を冷やすだけでなく、「指先などの抹消部分の血流量を増やす効能」もあります。さらに血流を改善させる作用がある「ピラジン」という成分が含まれていることも、農林水産省の研究で明らかになっています。

麦茶に関する研究はあちこちで行われており、静岡大学の衛藤教授は麦茶には「胃の粘膜を保護する作用、糖尿病の合併症を防ぐ作用、さらには発がん性物質であるペルオキシナイトライトにたいしての高い消去活性ある」ことなどを発見しています。

また、豊富なミネラルが含まれているために、「美肌効果」もありますし、「虫歯の原因となるミュータンス菌を抑制する効果もある」麦茶は、古来の人々が特別な飲み物としていたのも納得できるまさに「健康茶の代表格」なのです。

唯一の欠点としては、末梢部分の血流を改善してくれるとはいえ、身体を冷やしやすい作用をもっていることです。とはいえ、夏だけしか飲まないというのは、とてももったいないので、寒い時期には古来にならって「麦湯」として飲んでみましょう!

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【麦茶の研究に関する出典】

全国麦茶興業協同組合
http://www.mugicya.or.jp/effect/index.html

Japan ancient health drink.
Health force of barley tea.

 

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